Galapagos Japas

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結愛ちゃんが書き取りノート 期せずしてその再現映画
映画感想の万引き家族 

fujipon琥珀色の戯言 2018年06月09日 09:20
治(リリー・フランキー)と息子の祥太(城桧吏)は万引きを終えた帰り道で、寒さに震えるじゅり(佐々木みゆ)を見掛け家に連れて帰る。見ず知らずの子供と帰ってきた夫に困惑する信代(安藤サクラ)は、傷だらけの彼女を見て世話をすることにする。信代の妹の亜紀(松岡茉優)を含めた一家は、初枝(樹木希林)の年金を頼りに生活していたが……。

2018年、映画館での17作目。
観客は僕も含めて50人くらいでした。
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第71回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞したことでかなり注目されているのですが、僕はやや寝不足だった影響もあったのか、前半はけっこう眠気におそわれたりもしました。

ああ、また「いかにもリリー・フランキーが演じそうな役をやっている、リリー・フランキーさん」に加えて、今回は「いかにも樹木希林さんが……」「いかにも安藤サクラさんが……」ということで、演技合戦的な独特の緊張感を孕みながらも、「まあ、上手いよね、そりゃそうだ」と、やや醒めた気持ちで観ていたところもあったんですよね。
むしろ、2人の子役や松岡茉優さんの危うい感じのほうに惹かれるところがありました。
松岡さんけっこう露出もしているし、頑張ってるよねえ、とか。

これまでの多くの是枝作品と同じように、観終えて「うーん、これで『終わり』なのか……」と、大変モヤモヤしたまま映画館を出てきました。

この映画で描かれているのは、「世の中には正解なんてない、よりマシな選択をしながら生き延びていくしかない」という人たちと、「社会には『正解』が存在していて、それに従わない(従えない)人たちは異物であり、悪なのだ」という人たちの絶望的なまでのすれ違いではないかと僕は感じました。

それは警察や福祉課に相談するべきだ、とか、生きるためとはいえ、万引き、とくに子どもが万引きなんてするのは間違っている、というのは簡単なんですよ。
でも、彼らは「万引きするか、家で温かい布団にくるまって、コンビニで買ってきたご飯を食べるか」という選択を迫られているわけではなく、「万引きするか、食べるものがなくて飢えに苦しむか」という世界で生きている。
子どもたちだけでも保護してもらえばいいのに、と言いたくなるけれど、そういう「公的機関にアクセスする方法」を知らない人たちも、少なからずいるのです。

是枝監督は、「こういう家族や人間のつながり」の善悪ではなくて、「いまの日本にも、これと似たような生き方をしている家族がいる」ということを、まず知らしめたかったのではないかと思います。
そして、「善悪やどうするべきだったのかは観た人がそれぞれ考えてくれ」と、投げっぱなしにしているようにすらみえます。

この映画のなかには、女の子の「おねがいゆるして」という懇願など、あの目黒区の虐待事件を思い出さずにはいられない描写もたくさんあって、是枝監督は綿密な取材のもとにこの作品をつくりあげたのだな、と嘆息せずにはいられませんでした。
そして、あの目黒区の事件は、ひとつの典型例であり、まさに「氷山の一角」でしかないのだ、ということも理解したのです。

僕は正直、是枝監督の『そして父になる』や『三度目の殺人』って、「良い映画だとは思うけれど、ちょっと苦手」ではあったのです。
是枝監督は、僕からすると「弱者をイノセント(無垢)で情が厚く描き、経済力がある人を計算高く、情に乏しいとか家族に冷淡に描いている」ようにみえていたので。

『そして父になる』とかは、まさにその典型でした(すごく良い映画で、大好きなんですが)。

実際は、貧しいから助け合って生きている、とか、純粋で家族愛にあふれている、なんてことばかりではないですよ、お金がなければ少ないカネに対して諍いが起こるのは珍しくもない。

お金があれば幸せ、というわけではないのもわかるけれども。

しかしながら、この『万引き家族』では、「弱者や貧しい人たちは、強く生きているのと同時に、厚かましさや非常識さを武器にしている場合がある」ことを冷徹に描いているのです。

「それしか生きる手段がない」とはいえ、子どもに万引き(泥棒)をさせるべきではない。
そこには「子どもにやらせたほうがバレにくいし、見つかってもごまかしやすい」という計算がある。

ただし、子どもにだってプライドもあれば「生活が苦しいのなら、自分もみんなの役に立ちたい」という気持ちもある。

彼らをワイドショーで観る立場からすれば「非常識な小悪党たちが子どもを利用していた」と感じるだろうし、この映画で、彼らの視点からみると「彼らの置かれた立場や状況では、これが考えつくいちばんマシな生き方だったのだろうな」と考え込まずにいられなくなるのです。

でもさ、理由はどうあれ、万引きが多くなれば店は潰れるし(書店では、万引きの被害がかなり経営に悪影響を及ぼしています)、貧しいからなんでもあり、というわけにもいかないですよね。
『万引き家族』では、そういう「開き直った底辺の人々」が過剰に美化されていない。
彼らのズルさや利己的なところも、観ていて胸糞悪くなるくらい出てきます。

「それでも、あなたはこの家族に好感を抱き続けられますか?」
監督は、次から次へと観客を試してくるのです。
僕は、あの状況で逃げようとしているのをみて、さすがに「もう無理……」になりました。

感動したとかいうより、「いまも、こういう人たちが生きている」ということに唖然としたんですよ。
たぶん、彼らに、僕の「正しさ」は通用しない。

僕は、世の中は、彼らに何ができるのか、と考えずにはいられません。
そもそも、「何かができるのではないか」という考えそのものが傲慢で、彼らは「他人に何かをしてもらうことを期待していない」から、ああいうふうにして生きているのかもしれません。

彼らには勤労意欲の欠片もないわけではなくて、けっこう頑張って工事現場やクリーニング店で働いているにもかかわらず、それだけでは「食えない」環境にあるんですよね。
ワーキングプアとは、こういうことなのか。
優良企業の正規社員であれば社会保険も完備されており、何トラブルが生じても、サポートしてくれる仕組みがある。
でも、そうでないところの非正規だと、労災は下りないし、すぐに干されてしまう。
いちど「底辺ループ」に入ってしまうと、そこから抜け出すのは難しいシステムなのです。
これが、日本の格差社会のわかりやすい暗黒面なんですよ。

「底辺」になってしまった人たちは、お互いに助け合ったり、自分が生き残るために同じ立場の人を蹴落としたりしているけれど、『万引き家族』をみていると、彼らがここから「中流」や「上流」に向って豊かになっていくチャンスは極めて乏しいと感じます。
正直、僕は「こういう世界」の存在は知っているつもりでも、実際の生活の様子を想像してみたことはありませんでした。
少なくとも、これを観たおかげで、僕は「これまで見ないでいた、世界の3分の1をのぞき見た」ような気がしています。

でも、彼らにとっての「正解」は、やっぱりよくわかりませんでした。
ただ、どこかで、この負の連鎖を断ちきるべきで、せめて、この映画に出てきた2人の子どもたちは、普通に生きて、幸せになってほしい。

……と書いてはみたのですが「普通に生きる」って、けっこうハードルが高いですよね。
世の中では、何かが欠けている人たちが、「普通」のフリをしながら生きている。

この家族は、ずっと「このまま」だったら、幸せでいられたのだろうか?
そんなのは幸せとは違う!と言い切れるほど、僕は自分の生きかたに自信が持てないのです。
こんなふうに美味しそうに缶ビールを飲めるのであれば、それで「幸せ」ではないのか。
自己実現や理想の家庭につねに追われているうちに、「何もできなかった」と後悔しながら生を終えていく人が多いのではないか。

「貧困とはどういうものか」を感覚的に理解するためにも、すごく有用な作品だと思います。
 正直、「わかったからといって、何ができるのだろう?」と自問するばかり、ではあるのだけれど。

(記事引用)

下記記事とは日時、内容とも異質、また同枠ではないが、同時進行で起きている国内事件事故、社会犯罪は、その背景には社会全体の意識がウソ偽りなく反映している。
今回の事件は、その精神的幼児虐待悲惨性において社会の視点を大きく揺るがした。この先、これがどう進展するのか、またメディアその他が新たな展開を開始して「関連法案」策定に奔走するのか、注視したい。
数日前の事件では資産家がなぞの死因でニュースになった。下記記事は、それが関連的な性質として世界規模で拡大しているという。
枝葉末節をいくら云々しても何も解決しないが、せめて誹謗中傷ネットの0.1パーセントでもいいから、それらを阻止するためのsns啓蒙意見とか、メディア業界結束キャンペーンとか、なんとかできないものだろうか。
※つね日ごろ思うこと、ネット上では金満タイプ礼賛記事で満たされ、その方法論満載で、その広告が所狭しと貼り付けられている。いまさらアンチ資本主義を肯定否定もしないが、それだけの世界展開では、70年前のその出来事と寸分の狂いもない。だから、当該トップ記事にした、「ジョージ・ソロスの抱く懸念 第3次世界大戦勃発を予想」が想定されるのだろうと、内心密かに抱く。 


ティンダー(Tinder)の使い方完全ガイドマッチしない人必見
https://tinder-joshi.com/ 2017/06/18 2017/09/26
はじめまして!ティンダー女子です。

このサイトでは、「ティンダー(Tinder)で全然マッチできない!」という女性・男性のために、スーパーライクやメッセージなどのアプリの使い方を分かりやすく解説しています。まずは下の目次からトップページを読み進めてみてください↓↓
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ティンダー(Tinder)とは?
まずはじめにティンダー(Tinder)についてご紹介すると、全世界で累計200億回の出会いが生まれている人気急上昇のマッチングアプリです。

いわゆる「出会い系アプリ」とは違い、詐欺やサクラなど危険性がありません。18歳以上の年齢制限があるものの、女子大生や社会人、高学歴男子(慶応・早稲田・東大など)のような若い年代の男性・女性に使われているのがティンダーの特徴です。

また、ティンダーはアメリカ発祥のアプリということもあり、海外から日本に旅行・移住してきた人たちや外国人と出会えるのがメリットのひとつ。他にもマッチングアプリは種類豊富ですが、十分に差別化できているアプリだと感じています。
ティンダーのメリット・デメリットとは?

ティンダー(Tinder)を本格的に利用するか・課金するかを迷っている人は、ティンダーを使うメリットとデメリットを確認してみてください。もしかすると、あなたにはそもそも合っていない可能性がありますので、別アプリも検討してみましょう!

メリット:外国人・高学歴と出会える、無料で使える
海外・外国人とマッチできる
東大・早稲田・慶応などのMARCH以上の高学歴と出会える
男性・女性ともに基本無料で使える
人気急上昇でユーザー数が増えてきている
ティンダーのメリットと言えば、若い男女・高学歴・外国人のユーザーが多いことです。2015年頃に日本に上陸してから約2年経ちましたが、人気は衰えません。「暇な女子大生」さんのような有名ユーザーが登場するなど勢いは増してきています。

それなのに、アプリは基本無料で使うことができます。有料会員の「Tinder Plus」に課金しなくてもマッチして実際に出会えます。ティンダーの使い方をマスターすれば、友達・彼氏・彼女作りも簡単にできるようになるでしょう!

デメリット:趣味が合う人とマッチしない、やりもくが多い
趣味・好きなことが同じ人とマッチしない
やりもく(体目的の男性)が多い
Facebookの友達にバレる可能性がある
ティンダーにはユーザーを検索できる機能がないので、趣味や好きなことが同じ友達・彼氏や彼女を探す使い方ができません。趣味が合う男性を探したいなら、基本無料で楽しめる「タップル誕生」をインストールすることをおすすめします。

また、マッチングアプリでは珍しく、男性も基本無料で使えるアプリなので、体目的(やりもく)でティンダーを使う要注意人物が多いのもデメリット。

同じマッチングアプリの「マリッシュ」なら女性は無料・男性は月額2580円で、長期的な恋愛や結婚を考えている方が多いので、やり捨て・体目当ての付き合いが一切ありません。
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ティンダーに登録・ログインする方法とは?
ティンダーに登録・ログインする方法
ティンダー(Tinder)に登録・ログインするには、Facebookのアカウントか電話番号が必要になります。後から簡単にティンダーアカウントを作り直すこと(再登録)ができますが、それぞれの方法で登録したときの違いを確認しておきましょう!

Facebook:友達にバレる可能性がある
ティンダーには「友達とスワイプ(Tinder Social)」「共通のつながり」という機能があるため、ティンダーを利用していることがFacebookの友達にバレる可能性あります。一部、バレ対策できる使い方があるので、初期設定時に必ず確認しましょう!

一方で、名前変更を好きなタイミングでできるメリットがあります。基本的には下の名前(ローマ字表記)で表示されますが、Facebookの名前をニックネームやハンドルネーム(HN)に変更することでティンダーの名前に反映できます。

ティンダーはFacebookの友達にばれる
ティンダーがFacebookの友達にばれるって本当?【Tinder】
ティンダー(Tinder)を使っていて「Facebook(フェイスブック)の友達にばれたらどうしよう…」と不安に思ったことはありませんか? 実は、Facebookの友達にティ
電話番号:機種変更で引き継ぎできない可能性がある
電話番号での登録では、Facebookの友達にバレることなくアカウントを作成できます。「ティンダーは身バレする危険性がある!」と煽るブログがありますが、それはかなり古い情報です。ティンダーはバレることなく安全に使うこともできます。

ただし、機種変更のときに電話番号が変わると新しいスマホに引き継ぎできない可能性があります。ティンダーに復旧用のメールアドレスを登録しておいてください。また、名前や年齢を間違えたときに修正できないので気を付けてください!

ティンダーに電話番号で登録・ログインする方法
ティンダーに電話番号で登録・ログインする方法とは?【Tinder】
ティンダー(Tinder)はFacebookだけでなく、電話番号でも登録できるって知っていましたか? アプリを起動してすぐの「電話番号でログインしてください」をタップすると登
ティンダーの初期設定とは?
ティンダーの初期設定
ティンダー(Tinder)でアカウントを作成するとき、または作成後に必ず確認しておきたい初期設定の方法をご紹介。特にプロフィールは「男性・女性に出会えるかどうか」に1番反映されるので、マッチするためにも力を入れて編集しておきたいです!

プロフィール写真・画像を変更する
プロフィールの顔写真やお気に入りの画像は異性に1番見られるポイントです。男性ウケ・女性ウケを意識した写真を設定しておきましょう。写真を3枚以上アップしておけば、ティンダーの「スマートフォト」で1番良い写真が自動的に選ばれます。

顔写真は自撮り・明るい顔や笑顔・適度にメイクしたもの・1人だけで写っているものがおすすめ。真顔・プリクラ・集合写真・風景画・イラストはNGです。ティンダーでマッチしません。変更方法や画像の選び方は下の記事を参考にしてください。

ティンダーのプロフィール写真を変更する方法
ティンダーのプロフィール写真を変更する方法とは?【Tinder】
ティンダー(Tinder)で「プロフィール写真を変えたい…」と思っていませんか? 最初はFacebookで使っている写真に自動で設定されるため、お気に入りのグッズや風景画像の
自己紹介の文章を追加・編集する
「顔写真がいいな♪」とタップされて、次にティンダーで目に入るのが「自己紹介の文章」です。自分の良いところをアピールするために、相手が読みやすく分かりやすい書き方を心がけましょう。自己満足な内容にならないように注意してください。

自己紹介の内容は趣味や好きなことが無難で、メンヘラのような長文はNG。ティンダーで外国人とマッチしたい・出会いたい人は英語で「I’m studying English」「I want many king of friends」のようにアピールするのが重要です。

ティンダーの自己紹介の書き方
ティンダーの具体的な自己紹介の書き方とは?【Tinder】
ティンダー(Tinder)で「プロフィール・自己紹介の書き方が分からない」「ライクされるにはどんな文章を書けばいい?」と様々な悩みを抱えていませんか? 男性・女性と出会うのに
検索する距離・表示する年齢を変更する
ティンダーの初期設定では「検索する距離」が80km以内・「表示する年齢」がプラスマイナス10歳で設定されています。なかなかマッチしないことが多いので、都会なら15km前後・田舎なら30km前後に距離の範囲を狭めておく使い方がおすすめです。

また、年齢は18歳から28歳・25歳から35歳のように10歳の範囲内で設定しておきましょう。ティンダーで距離や年齢の範囲を絞り込みすぎてしまうと、「あなたの周りに新しい人はいません」とエラーメッセージが出てしまいます。


「Tinder Plus」に有料課金するとできること
「Tinder Plus」に有料課金するとできること・料金表
ティンダー(Tinder)でライクされない・全然マッチしない人は有料会員「Tinder Plus」への課金を考えてみてもいいかもしれません。有料課金すると解放される機能は以下の8つです。中にはリワインドのような無料版では使えない機能もあります。
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スーパーライクの回数制限が24時間に5回に増える
ブーストが1ヶ月に1回使える(通常は1回410円)
アクティブなユーザーが優先的に表示される
ライクの回数制限がなくなる
リワインドで間違えたときにやり直すことができる
プロフィールを自分がライクした人だけに公開できる
年齢・相手と自分の距離を隠すことができる
現在の位置を全国・全世界に変更できる
1ヶ月・6ヶ月・12ヶ月にかかる料金表
総額 月額
1ヶ月 1068円 1068円
6ヶ月 3870円 645円
12ヶ月 6828円 569円
iosかAndroidによってレートが変わるため、値段が多少変わるみたいですが、ティンダーの課金は1ヶ月で569円から1068円がかかります。支払い方法はクレジットカードやキャリア決済など。iTunesカードやGoogle Playカードは使えません。

出会えることができて途中で解約しようと思っても、総額請求されるので長期間の契約は慎重に行ってください。ティンダーの有料会員「Tinder Plus」のメリット・デメリットは下の記事を参考にしてみてください。

ティンダーの有料会員に課金するメリット
ティンダーの有料会員に課金するメリットとは?【Tinder】
ティンダー(Tinder)でなかなかマッチングできない方は有料会員の「Tinder Plus」や「Tinder Gold」に課金することを視野に入れているのではないでしょうか?

(記事部分引用)


関連実体記事

Tinder(ティンダー)は実際に出会えるのか?使い方と攻略法をまとめました。最近日本人の間でも流行りつつあるティンダー(Tinder)。オンラインで簡単に出会えるマッチングアプリとして世界中で使われています。ここではそんなTinderの使い方と特徴、攻略法をまとめてみました。

おすすめ度 ★★★☆☆
マッチングのしやすさ ★★★★★
 マッチング後の出会いやすさ ★★☆☆☆
運営会社 IAC(米)
利用料 基本無料、有料は360円/月
ユーザー数 世界で3000万人以上
年齢制限 18歳以上
ユーザーの性質 暇つぶし半分、楽しみ半分でやっている人が多い
(一部紹介記事)














アメリカ経済の「真のリスク」とは何か
2018年5月26日 9時0分 東洋経済オンライン
アメリカ経済は今「バブル崩壊直前」なのだろうか。ぐっちーさんは「真のリスク」は別なところにあると指摘する(写真:ロイター)
「アメリカ経済は完全にバブルだ」という話が最近よく出てきます。
先日も討論会で、「アメリカ国内の与信総額はすでにリーマンショック前のピークを越えており、これは明らかにバブルだ」、と指摘してきた某大学の経済学部教授がいたので、思い切り反論をしてやりました。今週のワタクシの有料メルマガで詳しく解説しましたが、簡単に申しあげておきます。例えばこんなデータが出ています。

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これは四半期毎にニューヨーク連銀がまとめるアメリカの家計における負債調査で、2018年第1四半期の家計が持つ負債総額は13兆2100億ドルに達しており、確かに2008年のリーマンショック前のピークであった12兆6800億ドルを超えています。

今のアメリカが「リーマンショック前」とは違う理由

この連載は競馬をこよなく愛するエコノミスト3人による持ち回り連載です(最終ページには競馬の予想が載っています)。記事の一覧はこちら

しかし、経済学者たるのもの、それで議論してはいけないわけです。そのあとにクレジットスコア(金融機関が与信を与える際のスコアリング)は755から761に上がっており、ニューヨーク連銀のエコノミストがわざわざ、「恩恵を受けているのは主に富裕層であり、そうでない人々にはほとんど融資は広がっていない」、とコメントを付けています。

つまり、貸出金額は増えているものの、それはクレジットスコアの高い富裕層向けの融資が中心で、貧乏人には恩恵は来ていないよ、ということです。あの時代は融資が拡大しつつ、クレジットスコアなんぞそれこそ「サブプライム」まで行ったわけですし、それを元手にさらにレバレッジをかけていたわけですから、それはひとたまりもなかったわけです。

2006年の段階で「これはバブルがはじける」とわれわれが予想したのはまさにこれがポイントでしたし、実際にはじけたあとも、「サブプライムローン自体はアメリカのGDPの0.8%しかないので、大したことがない」、と言っていた方がほとんどで、「大変だ!!」と騒いでいたワタクシを「モーサテ」(テレビ東京の朝の経済番組)が珍しく呼んだくらいですから、まさに少数派だったと言っていいでしょう。

ところが、今のこの状況で「バブル」などと言っている学者がいるわけですから、本当に参ります。 もちろん「ドナルド・トランプ大統領が何をするのかわからない」、というのは大リスクと言えます。しかし、こればかりは予想ができないので、「関東大震災が明日来る!」 と似たような話になってしまいますので、この話には触れません。

むしろ、最近にわかに気になり始めたのが、この問題なのです。出典はウォール・ストリート・ジャーナルです。ここでは日本語版を引用します。「NFIB(全米独立起業連盟)によると、中小企業経営者のうち、自社の抱える唯一最大のビジネス上の問題は、業務に適した従業員を見つけることだと考える割合が22%に上り、税金や規制の問題より多かったという」

ということで、これは大変な事態だと言っていい。これも有料メルマガでは詳しく解説していますが、実際、全米の失業率が3.9%ということは「失業者すべてに仕事を与えてもまだ仕事がある」という水準だし、ハワイやカリフォルニアなどの失業率はすでに2%台!! になってしまっているという現実があります。つまり労働者、特に高度な技術を持つ労働者を探すのは、どの企業にとっても至難の業で、さらに全米の出生率は下降に転じている、というデータまで出てきています。

アメリカが移民制限をし始めたら最大の経済停滞原因に
いつも申し上げているように、アメリカは先進国で唯一若年労働人口が増え続ける国で、2050年までそれは続きます。つまり、経済成長は約束されたも同然なわけですが、「このままいくと2050年以降は怪しい」、ということになります。ましてや移民制限などをしようものなら、それがアメリカ経済を停滞させる最大の原因になるでしょう。

移民制限などはトランプ大統領の個人的な思いつきに過ぎないので、当初は「大したことはないだろう」、と少なくともワタクシは高を括っておりました。しかし、この記事にある通り、共和党保守派全体がそちらの方向に大きく動き出していること、またアメリカ国民の中でも「これは経済的な問題ではなく、文化の問題だ」、という声が拡大中であることなどを考慮すると、これは結構厳しい問題になるな、という予感がいたします。

個人的な話ですが、私もアメリカに会社を持っている関係でアメリカの労働ビザを保有しているわけですが、実は、先日の審査の時、これまでには全く言われたことのないことを言われて、愕然としました。

これまでは、「移民局としては、あなたのように、アメリカ合衆国に納税もしてくれて、がんばって事業を起こしてくれている人は大歓迎で、引き続き頑張ってください」、と言われるのがお決まりだったのですが、前回の審査時には「あなたは日本でも十分な収入があるのに、なぜ、わざわざアメリカ合衆国で会社を作って仕事をする必要があるのか?」と質問され、正直びっくりしたわけです。

これまで10年以上アメリカ合衆国に納税をし、300人以上の雇用を生み出してきたのに、その貢献に感謝されるどころか、「そもそもあなたはアメリカに来る必要性がないのではないか」、というわけです。同じような境遇の友人(ドイツ人、イギリス人、デンマーク人など)と話したところ、「お前は日本人だからそんなもんで済んでるが、こっちはもっとひどいことを言われているんだよ。あからさまに『帰ったらどうだ』、と言われるからね。ロシア人あたりになるともっとひどいぜ!」というのですから、これは尋常ではありませんね。

「自由の国アメリカ」・・・は夢になりつつあるのかもしれません。いずれにせよ、この移民(外国人労働者)問題こそがアメリカ経済を躓かせる要因になるかもしれず、注意が必要だと思われます。

(本編はここで終了です。次ページからは競馬好きの筆者が、週末の人気レースを予想するコーナーです。あらかじめご了承下さい。なお今回は日本ダービー開催につき、ぐっちーさん、山崎元さん、吉崎達彦さん3人の執筆陣の予想を掲載します)

えー、このコーナーは「経済記事と競馬予測を組み合わせる」という東洋経済新報社さんの企画通りに書いているわけでありまして、私が唐突に、勝手に競馬予測をしているわけではありません。そのあたり、誤解のないようにお願い致します。

ということで、今週末は・・・やって参りました!!! 日本ダービー(5月27日、東京競馬場10R)であります。こちらの読者には「競馬なんてやったことがない」、という方も多数おられると思いますが、このレースは競走馬として生まれた馬たちが3歳という、まあ成人したばかりの若武者たちとでもいうべき同年齢の馬だけでチャンピオンを競う、というものなので、わかりやすく、競馬デビューにはうってつけだと思います。ぜひチャレンジください!

ダービーは本当に強い馬はどれか・・・が選べればよい
ちなみに今回出場する2015年生まれの競走馬は6955頭おりまして、まさにその頂点を決める、というレースなんであります。

ですから当然強い馬が勝ちます。

東京競馬場の2400メートルという舞台装置もあって、2000メートル(皐月賞の距離)も走って、最後の直線で400メートルも叩き合う訳で、しかも同年代対決というわけですからダービーだけは強い馬が勝つ、という信念に基づいて40年間競馬をやってきておりますが、結果を見るとその通りのレースばかりです。

従って、本当に強い馬はどれか・・・が選べればそれで終了、でありましてある意味非常に簡単であります(まあ、これで意見が割れるのがまた面白いわけでして、さて、執筆陣である山崎元さん、吉崎達彦さんの本命はどうなりますか・・・お二人の予想を見て下さい笑)。

ちなみに近年の優勝馬はこんな感じ・・・

2017年 レイデオロ(皐月賞4着)
2016年 マカヒキ  (皐月賞2着)
2015年 ドゥラメンテ (皐月賞1着)
2014年 ワンアンドオンリー (皐月賞4着)
2013年 キズナ (京都新聞杯1着)
2012年 ディープブリランテ (皐月賞3着)
2011年 オルフェーブル (皐月賞1着)

要するに中山競馬場で行われる皐月賞は紛れて勝つ馬がいるわけですが、このレースではガチで実力馬しか来ないわけです。ここ数年ではドゥラメンテ、オルフェーブルが皐月賞からそのまま勝っていますが、こいつらはある意味「化け物」です。

その点、今年の皐月賞馬、エポカドーロはそこまでの化け物ではない。

そうなるとワタクシが早くからダービー馬、と推していたダノンプレミアムしかありません。3月の弥生賞からの直行というのはあまり例がないんですが、体調が回復しているのであれば負けるとはちょっと考えにくいほどの強烈な末脚の切れ味は本当に見ものです。川田将雅騎手がほとんど何もしないで、弥生賞で上がり3F(600メートル)が34.1秒というのは、信じられないと言っていいと思います。

さて、あとは2着と3着、という話になりますが、これも前から2400メートル向きだな、と思ってみていたステルヴィオ(皐月賞4着)、ワグネリアン(皐月賞7着)は拾っておきたいところ。さらに青葉賞で同馬場、同距離を制しているゴーフォザサミット、そしてはっきり言ってマイラーにしか見えませんが、たまに飛んでくるマイラー系(2007年のウォッカの系統)ではジャンダルム(皐月賞9着)あたりまでは手を伸ばしたいかな、という感じです。

ここ数年堅いレースが続きましたが、今回はダノンプレミアムが図抜けており、これを軸に2、3着に人気薄を狙って高額配当、というのが個人的なビジョンです。そらあね、ギャンブルですからその通りに行くかどうかなんてわかりませんけど、1着は自信があります(あ~、言っちゃった!)。

山崎元氏の本命はブラストワンピース
山崎元です。さて、今年もダービーの季節がやって来た。他のレースで当たっても儲けは儲けなのでファンドマネージャー的には大レースを重視する感覚を持つことは疑問なのだが、やはりダービーの的中は気分がちがう(昨年は気分が良かった!)。

今年の私の本命は、ブラストワンピースだ。前走の毎日杯ではNHKマイルで勝ちに近い2着に好走したギベオンを完封しているが、皐月賞もNHKマイルも捨ててダービー1本に絞ったローテーションを組んだ。しかも、東京コースはダービーと同距離を経験済みで、巧みに場群を捌いて楽勝した。3戦3勝の戦績で全てがはっきりした着差のある勝ち方だ。

対抗にはワグネリアンを採る。いかにも東京の2400メートルに向いたディープインパクト産駒で、先行有利のペースの弥生賞でダノンプレミアムの2着に追い込んで来た同馬を見た時に、ダービーでは逆転を期待した。善し悪しは別として皐月賞ではゴール前、他の馬が壁になってほとんど追っていない。大外の8枠17番は不利だが、「ダービー向きで、ダービー狙い」である点でこの馬にも期待する。

単穴は先行できるディープ産駒ダノンプレミアムだ。ローテーションが狂ったが、先行できる同馬には極めて有利な1枠1番を引いた。地力優位は明白で、単穴以下には落とせない。

連下には、こちらも外枠(8枠16番)が気の毒だが、大逃げの3頭のうち2頭が大敗した皐月賞で3着に逃げ残ったジェネラーレウーノ、共同通信杯勝ちがあるオウケンムーンを押さえたい。

吉崎達彦です。いやあ、今年のダービーはいい馬が揃って面白くて悩ましい。人気も適度に散っていて、こんなに迷うのは久しぶりですね。ここは思い切って好きな馬から決め打ちでまいりましょう。

皐月賞馬のエポカドーロが強くないはずがない!
まず本命はエポカドーロ。皐月賞馬なのに、こんなに人気がないのもめずらしい。しかし皐月賞で後続に2馬身差をつけたエポカドーロが、強くないはずがない。オルフェーヴル産駒というのも買い材料で、オークスで3着に終わった同じ産駒であるラッキーライラックの仇討ちをお願いしたいところだ。鞍上の戸崎圭太騎手も、そろそろダービージョッキーになっても良いのではないだろうか。

対抗にはゴーフォザサミットを指名しよう。府中の同じコース、同じ距離である青葉賞の勝ち馬が、ダービーに出てくるとなぜか勝てない、というのは競馬界七不思議のひとつであろう。そのジンクスはそろそろ破られても不思議はあるまい。そして鞍上の蛯名正義騎手は、まだダービージョッキーになっていないのがこれまた七不思議である。

穴馬にはステイフーリッシュ。共同通信杯で大敗して評価を下げたが、京都新聞杯で強い勝ちっぷりを見せて蘇った。馬体も名前も規格外。たとえダービーでは来なくても、菊花賞では大きく飛躍するような気がする。そして鞍上の横山典弘騎手もたぶんに規格外だ。

これら3頭であれば、ワイドで買ってもそこそこにつく。とくにゴーフォザサミットとステイフーリッシュともなれば、米朝首脳会談を控えた「サイン馬券」的な面白さもありますな。今年は「攻めの競馬」でダービーを迎え撃つ所存であります。

中世ドイツから見る現在
文学部歴史学科 三佐川亮宏 教授 東海イズム・毎日新聞
難民の流入やテロが続くヨーロッパで、ドイツは中心的な存在だ。大国ドイツはどのような歴史を経て現在の姿になったのか。優れた業績を上げた研究者に贈られる日本学士院賞に、中世ドイツ史の研究によって選ばれた文学部歴史学科西洋史専攻の三佐川亮宏教授に、歴史を学ぶ意味を聞いた。【聞き手・銅崎順子】

画像 https://4travel.jp/travelogue/10738505src_10738505

 ――著書『ドイツ史の始まり―中世ローマ帝国とドイツ人のエトノス生成』(2013年)で、今年度の日本学士院賞に選ばれました。同書では既に東海大の2016年度松前重義学術賞も受賞されています。

 『ドイツ史の始まり』は、10年ほど前に執筆した博士論文を研究書にまとめたものです。私が大学院生のころは、文系では学位を取得することなく就職するのが一般的で、教授たちも博士号はもっていませんでした。しかし、文部科学省による大学院改革が進むなかで、若い世代が学位を取得するのが一般化したので、下からのプレッシャーも手伝って、重い腰を上げて博士論文を書くことにしました。40代半ばごろの約4年間集中的に取り組み、東日本大震災の起きた2011年3月に授与されました。その後、ウィーンとベルリンに半年間留学し、専門書として出版したのは2013年です。今から振り返ると、未熟な部分もあって過去の仕事という気もしますが、750ページの大作にチャレンジできたのは、ひたすら若さのなせる業ということでしょう。

 学士院賞は、旧帝大系の大御所クラスに授与されるという印象が強かったので、受賞の知らせを聞いた時は正直なところ驚きましたし、同時に自分にはキャリア・年齢のいずれにおいても分不相応かなとも思いました。ただ、地味な研究ではありますが、問題を分析する多角的な視点と、膨大な史料を駆使した文献実証主義的方法が高く評価されたことは、うれしい限りでした。授賞式には天皇・皇后両陛下がご出席され、研究内容を直接ご説明することになっていますので、今はその準備に追われています。

 ――高校の世界史で、気がついたらドイツが出てきたという印象があります。神聖ローマ帝国やハプスブルク家は今のドイツと重なりますが、中世ドイツってなに?ドイツの始まりって?という人が多いのではないでしょうか。『ドイツ史の始まり』では9世紀中ごろに国家の基本的枠組みが姿をあらわし、「ドイツ人」という民族名が出現するのは1000年頃、「ドイツ」という国家と民族の名前が定着したのは、ようやく12世紀前半になってからと論じています。


 確かにドイツの歴史は、複雑で分かりにくいですね。古代ローマ帝国が東西に分裂し(395年)、このうち476年に滅亡した西ローマ帝国の延長線上に、カール大帝のフランク帝国(800年)、そして(フランスを除いた)神聖ローマ帝国(962年)が誕生します。これは、現在のドイツ、オーストリア、スイス、イタリアを含む巨大な帝国です。隣国のフランスやイギリスは、国王を頂点に、言語・法・文化などにおいて比較的同質の民族が王国を形成し、その後近代の国民国家へと連続的に展開していくのですが、ドイツの場合「帝国」という多民族から構成される空間を枠組みに、複雑なプロセス経て誕生しました。この帝国は、実にナポレオンによって解体される1806年まで存続しました。現代世界で近いイメージは、旧ソ連や中国といったグローバル国家でしょう。

 「ドイツという国はいつ誕生したのか」というテーマは、ドイツでは19世紀から繰り返し論じられてきた問題です。当時のドイツ人は、国民国家形成のモデルであるフランスやイギリスを強く意識しつつ、自らが近代化に遅れた後進的国民であるとのコンプレックスを抱いていました。そこで、「共通の言語」を軸とする太古のゲルマン民族の時代までさかのぼる民族の連続性というフィックションを構築し、過去の偉大な帝国の歴史の中にライバルをしのぐ自らの正当性を探し求めたのです。19世紀の国民国家の枠組みを過去の歴史の中に持ち込む、こうした「ナショナル・ヒストリー」の歴史の見方は、東欧革命、そして統一ドイツを中心に欧州連合(EU)が結成された1990年代以降になると、修正を迫られることになります。私自身は、偶然ですがこの変革期のさなかの1987~90年、当時西ドイツの首都であったボン大学に留学しており、時代の転換を肌で感じることができました。また、外国人研究者としての視点で、伝統的テーマを再検討する機会に恵まれたと思います。『ドイツ史の始まり』ではこれまでのドイツ人のナショナル・ヒストリーとは違って、「帝国」という巨大な枠組みをプラットホームとし、「外」でのさまざまな民族との異文化接触を通じて初めて、「内」に向けての「ドイツ人」あるいは「イタリア人」という民族的アイデンティティーが芽生えていったのではないか。そうした広い視野で、250年間の歴史を再構成してみました。
 日本人に置き換えるならば、日本一国だけで見るのでなく、「アジアの中の日本」という視点です。ローカルな次元を超えた「日本人」という超民族的意識が育まれたのは、アジア全体の中での異文化接触、あるいは黒船来航という「外」からの衝撃を通じて初めて可能になったのではないでしょうか。

 ――ドイツ中世史を研究するきっかけは?

 子どもの頃から日本史が好きでした。NHKの大河ドラマで「新・平家物語」(1972年放送)がとてもおもしろく、平安時代後期から源平時代に興味を持ちました。大学に進学後、日本史に進もうかと思ったのですが、漢文講読を主体とする講義が難解で、西洋史に方向転換しました。ドイツについては、自分の性格にマッチしていたのと、高校時代に読んだトーマス・マンなどのドイツ文学の世界にひかれたのだと思います。

 20代後半の大学院博士課程在学中に初海外で3年間留学したのですが、当初予定していたケルンの地域史研究については、日本人研究者としての限界を痛感し、相当悩みました。たまたま訪れた講義で、ハインツ・トーマス先生の面識を得て、「ドイツ」という言葉の歴史から民族のアイデンティティー問題を探るというテーマに取り組むことになりました。結果的にトーマス先生に師事することができ、本当にお世話になりましたので、後に論文集『中世の「ドイツ」―カール大帝からルターまで』(2005年)を感謝の意も込めて翻訳させていただきました。

ドイツ留学時には、ベルリンの壁崩壊の現場に居合わせたそうですね。


 西ドイツ政府主催の留学生向けの研修旅行で、西ベルリンに1週間滞在していました。ちょうど1989年11月の初頭でした。旧ソ連のゴルバチョフ共産党書記長が改革路線のペレストロイカ(立て直し)を進め、冷戦体制が崩壊に向かっていた時期でした。「壁」の向こうの東ベルリンにも行きましたが、同じ民族なのに、西とは異なった緊張した雰囲気に驚きました。11月9日の夜、西ベルリンのホテルでニュースを見て「大変なことが起きているな」とは感じたのですが、意外と現場にいるとかえって何が起きているのか分からないものでした。翌朝、街に出ると東ドイツの市民であふれかえっているので驚きました。彼らはスーパーで、コーヒー、チョコレート、バナナを競って買っていました。西側では普通に売られているものでも、東ドイツでは購入できないぜいたく品です。この時の体験は、20代の私にとってはいろいろな意味で本当に貴重な経験になりました。

 
 ――現在はどういったテーマに取り組んでいますか。


 40代は理論と向き合っていたので、『ドイツ史の始まり』を書き終えた後の50代は、史料の読解に取り組んでいます。若い年代でピークが来ると言われる理系の一部の分野とは違って、歴史学者をはじめとする人文系の学者は、地道な作業の積み重ねと、過去の人間を見つめる研究者としての経験値を高めていくことが重要です。「近代歴史学の父」と言われるレオポルト・フォン・ランケ(1795-1886年)は、実に91歳まで現役で執筆し続けましたが、「優れた歴史学者になるためには、まず長生きしなければならない」と語っています。
 今は10世紀の史料を次々に翻訳しています。この時代は、異民族の侵入や内乱に明け暮れ、文化的にも停滞した「暗黒の世紀」と呼ばれてきました。しかし、今日の欧州連合(EU)につながる主要な国々と民族(ドイツ、フランス、イタリア、ポーランド、チェコ、ハンガリー)の枠組みが形成された重要な時期でもあります。日本人にはほとんどなじみのない時代ですので、そのおもしろさを知ってもらうために、代表的な史料4点全てを日本語に翻訳しようと計画しています。手始めに昨年刊行したコルヴァイのヴィドゥキント『ザクセン人の事績』は、10世紀前半の王朝史をつづった傑作です。戦争のみならず、冒険、親子・兄弟の確執と裏切り、伝説といったエピソード満載で、ある意味では『ニーベルンゲンの歌』に先駆ける英雄叙事詩として読むことも可能です。今翻訳しているのはメールゼブルク司教ティートマルの『年代記』です。この時代としては異例な自伝的性格の濃厚な作品で、1000年前の人々のメンタリティーが手に取るようによく分かります。「紀元1000年」におけるキリスト教的終末意識の高まりを知る上でも、重要な著作です。もし可能ならば、来年度は再びウィーンに留学し、関連文献の調査・収集をおこないたいと考えています。

 ――「役に立たない」と文系不要論が言われることもあります。歴史を研究する意義とは。

 役に立つものは、すぐに役に立たなくなるという側面もありますよね。大学はすぐに役に立つ技術を教える就職予備校ではありません。一人の人間としての長い生涯を見据えたうえで、若い人々がものの見方や考え方を培っていく場です。ですから、「役に立つ」ということを言う場合には、短期的な有用性と、長期的な全人格的教育を分けて考えた方が良いでしょう。

 歴史も、確かに過ぎ去った過去を対象にしていますが、その目的は、現在のわれわれのいわば「立ち位置」を時間を軸に確認することにあります。短期間で忘れ去られてしまうエピソードもあれば、千年の時空を超えて長期的に作用し続ける重要なファクターもあります。たとえば、さきほど紹介した10世紀という「暗黒の世紀」の歴史、特にキリスト教的ヨーロッパの形成の事情を知ることなくして、今日の中東欧世界を取り巻く状況は、理解不可能だと思います。

 ――若い学生に伝えたいことをお話しください。


 今は40代になっている教え子に会うと「もっと歴史の勉強をしたい」「今でも少しずつ勉強しています」と言う人が多いです。社会人になって初めて歴史のおもしろさ、大切さを感じたのでしょう。その意味で若い学生は、まだ経験値が低いので、実感に乏しい机上の学問になりがちなのも無理はありません。でも感受性の強い若い年代のうちに、是非とも外国に行って苦労してみてください。私は20代後半での初海外でしたが、振り返ってみると、バスに乗り遅れる寸前だったように思われます。「外」から日本の社会、あるいは自己を見つめ直すことで、これまで当たり前に思われていたこと、常識が実はそうではないことに気付くはずです。そのことで逆に、日本にいる外国人に対する見方も変わってくるはずです。

 最近の学生には海外へ行くのを面倒がる風潮もあるようです。確かに、学生はお金はあまりないでしょうが、自由になる時間はたくさんあります。社会人になると、この関係は逆転します。失敗を恐れることなく、貧乏旅行、あるいは短期留学で結構ですので、いろいろな体験を積んで、自らの頭でものの見方や考え方を培っていって欲しいと思います。


東海大学文学部歴史学科西洋史専攻 教授
三佐川 亮宏(みさがわ・あきひろ)
北海道大学文学部史学科西洋史専攻卒業、同大学院文学研究科西洋史学専攻修士課程・博士課程を経て、1991年に同専攻助手。1994年、東海大学の講師に採用され、准教授を経て2009年より現職。2011年、北海道大学大学院文学研究科において博士号(文学)を取得。博士課程在学中の1987〜1990年の間、ドイツ学術交流会(DAAD)の給費留学生としてボン大学に留学。さらに2011〜2012年の間、ウィーン大学オーストリア史研究所、ベルリン・フンボルト大学比較中世史研究所に客員研究員として滞在。2016年度東海大学・松前重義学術賞を受賞。『ドイツ史の始まり—中世ローマ帝国とドイツ人のエトノス生成』(創文社 2013年)により、2018年度・第108回日本学士院賞を受賞。
(記事引用)


















クールベ、マネ 近代美術のはじまり
執筆者:橋本 誠All About
文章:橋本 誠(All About「アート・美術展」旧ガイド)
第4回、フランス革命、産業革命などの影響のもとに、独自の絵画を生み出したクールベとマネ。近代美術の始まりとされている2人を中心に紹介する「巨匠で見るアート」。

近代美術のはじまりの設定の仕方には様々な論説がありますが、新古典主義やロマン主義、写実主義が台頭する18~19世紀だとされています。特に1789年のフランス革命を受けて、ヨーロッパの各地で市民社会が成立、発展していったという時代背景の影響は大きく、芸術家は自分たちを取り囲む現実にも目を向けるようになりました。

画像 エドゥアール・マネÉdouard Manet ナダールによる肖像写真(1867-1870頃)

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そうしてクールベに代表されるような写実主義や、その流れに立ちながらさらに新しい感性をもって現実世界に目を向けたマネなどが登場します。

「巨匠で見るアート」シリーズ、第4回は「近代美術の始まり」をテーマに、ギュスターヴ・クールベとエドゥワール・マネを中心に取り上げたいと思います。
古典的形式から抜け出しきれなかった新古典主義とロマン主義
ヨーロッパにおける18世紀までの絵画は、主題を神話や宗教に求めた神話画・宗教画、王侯貴族をはじめとするパトロンを主な対象とした肖像画がほとんどでした。

一部17世紀オランダでは、カトリック教より分派したプロテスタントによる市民国家が成立し、近代的な性格を強くしていたために、写実を重視した風景画や静物画、風俗画などが多数制作されました。この動きは、後に近代絵画が成立する大きな基礎となります。

トルコ風呂
ドミニク・アングル《トルコ風呂》1862年
1738年にハルクラネウム、1748年にポンペイと立て続けにイタリアの古代遺跡が発掘されたことがひとつのきっかけとなり、18世紀後半のヨーロッパではギリシア・ローマ時代の古典への回帰が志向されるようになります。この動きはルネッサンス時代の「古典の復興」に対して「新古典主義」と区別されています。

新古典主義の代表的な画家には、時の権力者であったナポレオンの姿などを荘厳に描いたジャック・ルイ・ダヴィッド(1748-1822)や、きめ細かな美しい肌の表現をもって女性の裸体などを描いたドミニク・アングル(1780-1867)らが挙げられます。

民衆を導く自由の女神
ウジェーヌ・ドラクロワ《民衆を導く自由の女神》1830年
一方で、新古典主義の運動を形式上の模倣や追従だとみなし、激しい構図や色使い、東洋趣味(オリエンタリスム)、現実から離れた幻想世界のテーマなどを取り入れて古典に対する反抗を試みたのがロマン主義です。

ロマン主義の代表的な画家には、ダヴィッドの弟子で、生き生きとした表情でナポレオンなどを描いたアントワーヌ・ジャン・グロ(1771-1835)や、革命の様子などをドラマチックに描いたウジェーヌ・ドラクロワ(1798-1863)などが挙げられます。

新古典主義やロマン主義の絵画は、それぞれに18世紀までの絵画を新しい形で推し進めた表現でしたが、神話的、宗教的なものにテーマを求めたり、現実を美化した描写を行っていたという点では、古典的な形式から脱却することはありませんでした。そこからより大きく近代絵画への一歩を踏み出したのが、写実主義です。

次のページでは、クールベに代表される写実主義に迫ります!
身近な現実の世界に目を向けたクールベと写実主義
出会い(こんにちわ、クールベさん!)
ギュスターヴ・クールベ《出会い(こんにちわ、クールベさん!)》1854年
ギュスターヴ・クールベ(1819-1877)は、身近な現実の世界を忠実に描写することが絵画の本質であると考え、それまでには描かれることのなかった貧民や労働者も積極的に描きました。

例えば《出会い(こんにちわ、クールベさん!)》では、道端でクールベがパトロンに出会った日常風景をありのままに描いています。パトロンに対してへりくだることのない様子も忠実に表現されています。

クールベは、現実には存在しないモチーフや、美化された「絵空事」を描くことは決して行わず、自分の目で見たものだけに題材を求めたのです。それをよく表す彼の言葉に「天使を描いてほしければ、目の前に天使を連れてこい」というものがあります。

こうした現実の世界のみに主題を求める写実主義(レアリスム)は、それまでの絵画とは大きく態度を異にするものでした。

当時のヨーロッパでは、新古典主義のアングルと、ロマン主義のドラクロワが絶大な人気を誇っており、1855年のパリ万博でも二大巨匠展が開催されましたが、クールベは私費を投じ、果敢にも個展を同時開催して自らの芸術観を示しました。このような形で個展が行われたのも、美術史上初めてだったと言われています。
自然や政治と向き合った写実主義の作家
落ち穂拾い
ジャン=フランソワ・ミレー《落ち穂拾い》1857年
三等列車
オノレ・ドーミエ《三等列車》1863-65年
クールベと共に活躍した写実主義の作家には、ジャン=フランソワ・ミレー(1814-1875)やオノレ・ドーミエ(1808-1879)らがいます。

ミレーは自然を好み、パリ郊外のバルビゾン村で活動したバルビゾン派のひとりです。バルビゾン派の多くの画家は人物を風景の一部として描いていましたが、ミレーは風景はあえて細かくは描きこまず、人物の様相を丁寧に描写しました。

ドーミエは雑誌『カリカチュール』などで版画による政治風刺漫画を描きました。自由平等思想が広がる中で、現実の生活に対する批判精神を持ちながら活動した画家だと言えるでしょう。

次のページでは、クールベに影響を受け、さらに絵画の可能性を広げたマネの表現に迫ります!
生身のヌードを描いたマネのスキャンダル
草上の昼食
エドゥワール・マネ《草上の昼食》1863年
オランピア
エドゥワール・マネ《オランピア》1863年
ウルビーノのヴィーナス
ティツィアーノ・ヴェチェリオ《ウルビーノのヴィーナス》1538年
パリ万博では、1839年に発明され、改良が重ねられていた写真技術(※)やそれらを利用した作品も紹介されていました。現実の世界をありのままに描写する写実主義に限らず、絵画には写真とは異なる表現が求められるようになっていきます。
※ダゲールにより発明され、1839年に発表されたダゲレオタイプが世界初の実用的写真技法だとされている。

そのような中で登場したのがエドゥワール・マネ(1832-1883)でした。マネは、写実主義のクールベに感化され、現実の世界を描く対象にしましたが、「如何に描くか」といったことを模索しました。

1863年、当時定期的に開催されていた公募展「サロン」の落選展にマネは《草上の昼食》を出品。大スキャンダルをまきおこします。川辺で昼食をとる紳士と裸婦の姿がモチーフですが、当時この様に現実の風景の中に裸婦を描くということは不謹慎だとされていたからです。

それまで絵画に描かれる裸婦というものは、あくまで人間の姿を借りた神であり、生身の女性ではありませんでした。よって描き方もアングルの描いた裸婦のように美しく理想化され、シチュエーションも現実離れをしたものだけが許されていたのです。

人の目に映る映像に限りなく近い、現実的な表現をもって描かれた裸婦の姿は当時の人々にとっては大きなショックだったのです。

また、《草上の昼食》が発表された2年後に「サロン」に出品された《オランピア》も大きな話題を呼びました。恥らうことなくこちらを見つめる女性は、身につけているものや一緒に描かれた黒人の召使いなどからも、娼婦であることがうかがい知れます。

作品の構図をティツィアーノ・ヴェチェリオ(1488-1576)の作品《ウルビーノのヴィーナス》に求めつつも、描かれる対象が俗的なものにすり換えられている大胆な作品です。

ちなみに、作品の構図については《草上の昼食》もティツィアーノの《田園の奏楽》などを参考にしたと言われており、マネは美術史に着想を求めることをした最初の画家だとも言われています。

最後のページは、まとめと次回の告知です!
近代美術のはじまり
18~19世紀のヨーロッパでは、自然科学の進歩、科学知識の実用化、資本主義の発達、産業の合理化などの動きがあり、人々の日常生活にも大きな影響を及ぼしました。絵画をはじめとする芸術もまた、これにより大きな変革が訪れたといってもよいでしょう。

クールベやマネは、激動の時代の中で絵画のあるべき姿を見つめ直し、独自の手法を確立していった画家です。後に様々な主義が短期間のうちに興隆し、それぞれが個性的に新しい芸術を目指していくという近代美術の出発点に位置づけることができると思います。

【関連記事】
アンディ・ウォーホルとポップ・アート(巨匠で見るアート:近・現代編)
【関連サイト】
19世紀絵画教室……19世紀の絵画を紹介するサイト。クールベやマネの作品紹介もあり。
アート at ドリアン……西洋美術史の運動様式に沿って説明と画像を掲載しているサイト。

いかがでしたでしょうか。近代美術のはじまりを語るのにはかかせないクールベとマネの作品。もしも今後見る機会があった時には、この記事のことを思い出していただければと思います。

「巨匠で見るアート:近・現代編」の次回は、マネの作品を受け入れた印象派の画家、モネとセザンヌを取り上げます。お楽しみに!
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
更新日:2006年07月19日
(記事引用)












 



F22とF35の「ハイブリッド戦闘機」の日米共同開発はファンタジーに過ぎないのか
木村正人 blogos.com 2018年05月04日 19:45 

「ハイブリッド戦闘機」の共同開発案をロイター通信がスクープ
[ロンドン発]ロイター通信のスクープを発端に航空業界が喧騒に包まれている。
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航空自衛隊の戦闘機F2の後継機(F3)として、アメリカが誇る世界最強のステルス戦闘機F22と多用途性ステルス戦闘機F35を組み合わせた「ハイブリッド戦闘機」を開発する案を米ロッキード・マーチンが日本政府に非公式に打診したとロイター通信が特ダネで報じた。


航空自衛隊が42機を調達する予定の多用途性ステルス戦闘機F35A(アメリカ空軍HPより)
ロッキードは米政府と議会の認可を得て夏までに正式提案するという。

もしF22とF35のハイブリッドという夢の戦闘機が日米の最先端技術で実現したら中国やロシアの脅威を封じ込め、アジアだけでなく世界の制空権を確保できる。

しかし、いったいどんな戦闘機ができるのか想像もつかない。米サンフランシスコに住む国防・安全保障専門のジャーナリスト、カイル・ミズカミ氏は技術誌ポピュラーメカニクス(電子版)にこう書く。

https://www.popularmechanics.com/military/weapons/a19987214/what-japans-f-22f-35-hybrid-fighter-might-look-like/

「F22のステルス性とツイン(双発)エンジン、素晴らしい運動性能、大き目の兵器庫と、そしてF35の最先端コンピューター、近代的なアビオニクス(電子機器)、ネットワーク能力を組み合わせたデザインになる」

「もし完璧に統合できたらハイブリッド戦闘機はF22とF35の弱点を克服し、双方の強さを併せ持つ。日本はエンジンと機首に搭載されるレーダーを含む自国製機器を統合することを求めるだろう」

ロイター通信によると、三菱重工が共同開発のまとめ役になり、IHIのエンジン、三菱電機の高性能半導体を使ったレーダーを活かしたい考えという。

対中国、ロシアの最前線に立つ日本
F22は「ラプター(猛禽類)」という愛称を持つ世界最初のステルス戦闘機だ。レーダーや赤外線探知装置に悟られず、隠密性が極めて高い。


世界最強のステルス戦闘機F22(アメリカ空軍HPより)
2006年にアラスカで行われた演習で既存の戦闘機に対して144機を撃墜し、F22は1機の被害も出さないという完璧なまでの撃墜比を記録した。任務遂行能力率は97%という文字通り世界最強の戦闘機である。

しかし高いステルス性は「門外不出(輸出禁止)」の軍事機密とされ、同盟国にも売却されないまま、アフガニスタンやイラクでの戦費が膨れ上がったため、F22は生産停止に追い込まれた。

緊急発進(スクランブル)の回数で比べると、16年で日本は北大西洋条約機構(NATO)29カ国を合わせた870回より多い1168回。頻繁に中国機やロシア機が日本の空を脅かしている。


領空侵犯した敵を撃破する任務を担う航空自衛隊の戦闘機は17年版防衛白書によると、通常離着陸型のF35A(4機、F4の後継機として計42機を調達予定)、F15J/DJ(201機)、F2A/B(92機、F16をベースに日米共同で改造開発したもので00年に導入)、F4EJ(52機)。

中国人民解放軍は第5世代のステルス戦闘機J20(殲撃20型)やFC31の開発を進め、ロシア軍もF22に匹敵する性能を持つとされるSu(スホイ)57をシリアに展開している。

先のエントリーでも紹介したように、イギリスの有力シンクタンク、国際戦略研究所(IISS)は世界の軍事情勢を分析した報告書「ミリタリー・バランス2018」で次のように警鐘を鳴らしている。

「中国が独自開発したJ20は20年までに前線への実戦配備が開始される。アメリカだけがステルス戦闘機を作戦で運用できた独占状態は失われるだろう」

「過去30年間にわたってアメリカと同盟国のキー・アドバンテージになってきた制空権はもはや保証されているわけではない」

有力な選択肢としての国際共同開発
そんな中、防衛省は30年ごろから退役するF2の後継機について(1)国産開発(2)国際共同開発(3)F2改良による延命(4)外国機種購入という選択肢の中から検討してきた。

日本単独の国産開発はコストがかかり過ぎる。F2改良による延命では、近代化する中国機やロシア機に対抗できず、制空権の確保が危うい。外国機種を購入すれば戦闘機の生産技術基盤が失われる。有力な選択肢はやはり国際共同開発となった。

昨年3月、防衛装備庁は「将来戦闘機の日英共同スタディに関する取決めの締結」を発表。日英両国がそれぞれ検討を進める将来戦闘機と将来戦闘航空システム(FCAS)に関する情報交換を行い、将来の協同事業の可能性について意見交換する方針を明らかにした。

F2後継機の国際共同開発を念頭に置いた取り決めだった。防衛省は今年3月、ロッキード、英BAEシステムズ、米ボーイングに国際共同開発に必要な情報提供を行うよう呼びかけており、BAEやボーイングも夏までに日本に提案する予定だ。

読売新聞によると、米英両政府に伝達されたF2後継機の「要求性能」は(1)小型無人機を「子機」として搭載(2)F35A の倍の空対空ミサイル8発を内装(3)F2と同等の最大速度(マッハ2)(3)F35Aと同等以上の航続距離・ステルス性・レーダー探知距離など。空対艦ミサイルは、運用に応じて機外装備を想定しているという。

F4後継選定で最優先された日米同盟
筆者は航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX、F4の後継機)をめぐり、F35Aのロッキード、F/A-18E/F のボーイング、欧州製戦闘機ユーロファイター(通称・タイフーン)のBAEが争い、F35Aが採用された経過を長期にわたって取材したことがある。

戦闘機の機種選定は政治や外交によって大きく左右されるため、日米同盟が最優先される。BAEは最初から最後まで完全な「当て馬」だった。


ドナルド・トランプ米大統領が国内の雇用回復のため、貿易赤字の解消を声高に主張している。

「バイ・アメリカン(アメリカ製品を買え)」と強く迫られた安倍晋三首相はF35Aや無人偵察機グローバル・ホーク、垂直離着陸機V22オスプレイの調達を進めているほか、F35B(STOVLタイプ=短距離離陸・垂直着陸型)の調達も検討していると報じられた。

トランプ大統領はアメリカ製兵器の輸出を緩和する方針を打ち出しており、ひょっとするとF22の技術移転が今度は認められる可能性があるとの楽観論も流れる。しかし、いろいろな疑問が頭をもたげてくる。

(1)緊急発進に使う制空戦闘機にF35AよりハイスペックなF22とF35のハイブリッド戦闘機が果たして必要なのか。使い減りしない戦闘機の方が適当ではないのか


(2)日本の政府債務残高は国際通貨基金(IMF)のデータで国内総生産(GDP)の235%を超えている。F22やF35でも開発・製造・維持管理に莫大なカネがかかるのに、未知数のハイブリッド戦闘機にかかわったが最後、債務拡大のアリ地獄にはまらないか

(3)F16をベースにF2を日米で共同開発した時にはF16のソース・コードの供与は制約される一方、アメリカ国内の雇用は最大限確保された。今回も国内の生産技術基盤が十分に維持されるのか、技術移転が期待できるのか、何の保証もない

米誌ナショナル・インタレストのデイブ・マジュムダ氏は「F22とF35のハイブリッド戦闘機なんて起こりっこない」と容赦ない記事を執筆した。

http://nationalinterest.org/blog/the-buzz/lockheed-martin-wants-merge-f-22-f-35-1-fighter-japan-it-25509

「米航空戦闘軍団は制空権を確保する次世代戦闘機として航続距離、兵器の搭載量、ステルス性、電子攻撃の大幅な向上を求めており、F22やF35の派生機では要求を満たせない」

「垂直尾翼や水平尾翼のない構造になる可能性がある(F22とF35には垂直尾翼、水平尾翼がある)。エネルギー効率の高いアダプテイブ・サイクル・エンジン技術が採用されるだろう」「F22とF35のハイブリッド戦闘機は日本の基準を満たせても、アメリカ空軍の要求を満たせないだろう」

「日本は開発・試験・製造の費用をすべて負担しなければならないばかりか、アメリカに逆輸出してコストを軽減することもできそうにない。最もあり得るシナリオは、F22とF35のハイブリッド戦闘機はファンタジーの領域にとどまるだろうということだ」

F2後継機選定は国内の生産技術基盤維持、財政の制約という観点から考えると、使い減りのしない外国機種をライセンス生産するか、日米英3カ国の共同開発を模索してコストをできる限り軽減するのが妥当な選択肢のように思えるのだが。

(記事引用)













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