Galapagos Japas

国際政治と日本の古代政治変遷歴史 明治維新など特に集中して書いている

築地の基準価超え「ヒ素」

築地市場の敷地内から基準超ヒ素…13年調査
2017年3月7日 15時4分読売新聞
 東京・築地市場(中央区)の敷地の南端から、環境基準の2・4倍となるヒ素などの有害物質が検出されていたことが、読売新聞の情報公開請求に対する都の開示資料でわかった。

 同市場敷地内の土壌調査結果が判明するのは初めて。

 土壌調査は、市場跡地を通る環状2号線の整備に向け、2013年5~6月に行われたが、結果は公表されていなかった。

 ヒ素は環境基準(1リットル当たり0・01ミリ・グラム)の2・4倍にあたる0・024ミリ・グラム、フッ化物は環境基準(1リットル当たり0・8ミリ・グラム)の1・6倍に当たる1・3ミリ・グラムが検出された。
(記事引用)

小池知事に踊らされる都議会 百条委設置も中身ナシの不安
 2017年2月23日 日刊ゲンダイ 
 百条委の委員長がこの調子で、審議は成り立つのか。そもそも、桜井都議は豊洲問題に「精通」しているわけじゃないし、本気で調査する姿勢を見せているのは共産党ぐらいだ。

「百条委設置が選挙向けの“ポーズ”だとすれば、中身のないものになる可能性があります。与野党問わず、どの会派も本気で調査するべきです」(都政に詳しいジャーナリストの鈴木哲夫氏)

 小池知事は百条委設置について「審議を見守る」と高みの見物を決め込んでいる。都議は皆、小池知事の手のひらの上で踊らされているようで、せっかく設置が決まった百条委が意味ナシ――に終わらないか心配だ。

追及の場を用意しただけで満足されては困る。都議会が22日の本会議で、豊洲市場問題を調査する「百条委員会」の設置を全会一致で可決した。百条委では出席する証人はウソをつけば偽証罪に問われる。これで石原慎太郎元都知事も万事休すかと思ったら、そうではない。

 本会議で百条委の設置が決まると、都議は「よしっ!」と声を上げ、威勢よく起立。設置に賛意を示していた。ところが、慎太郎氏を含めて、いつ、誰に何を追及するのか――といった中身については全くの“白紙”状態なのだ。

■慎太郎氏の呼び出しも未定

 百条委の委員長に就いた桜井浩之・自民党都議は、本会議終了後、今後の方針について「何も決まってない」と苦笑いし、報道陣から、慎太郎氏について問われると「誰を呼ぶかについてもこれから」とボソボソしていた。それもそのはずで、当選2期の桜井都議のホームページを見ると、桜井氏本人と慎太郎氏がガッチリ握手を交わしている写真が今も掲載されている。

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「小池百合子新知事の五輪選手村」跡地開発に壁高し
住居5650戸 建設費2倍/需給インパクト懸念
オリパラSelect 2016/8/2 日経産業新聞
 元防衛相の小池百合子氏(64)が東京都知事に選ばれた。3代連続で東京都知事が任期途中で辞職する異例の事態を経ての登板だ。最大の案件は2020年の東京五輪・パラリンピック。小池氏と対立関係にある有力都議の裏には不動産業界が控える。その不動産業界と共同で小池氏が越えなければならないのが選手村跡地開発問題だ。

 1万7000ベッドを用意して欲しい――。東京都都市整備局が提示した選手村の建設要件だ。日本は五輪開催に合わせ、約200カ国から集まってくる選手やコーチなどのために選手村を用意する必要がある。そのマネジメントを担うのは東京都だ。

 都は三井不動産など民間主導で選手村を立ち上げる計画だが問題は跡地開発だ。構想では選手村を建設した民間デベロッパーに再開発させ、新築マンションとして分譲(一部は賃貸)することを認める方針で「かなりの人気物件になる可能性が高い」(みずほ証券の石沢卓志・上級研究員)。

■東京・晴海の超一等地にドーム3個分

 確かに選手村の建設予定地は中央区晴海と超一等地。広さにして13万3900平方メートル。東京ドーム約3個分の広大な敷地を東京都が整備、129億6千万円でデベロッパーに譲り渡す。近隣の地価を考えれば、通常の「取引なら1平方メートルあたり60万円以上」(同)の土地を6分の1以下で売却するわけだから破格の安値だ。

 こうなれば「どんなデベロッパーでも手を出したくなる」と考えるのは早計だ。なぜか。

 理由は建設費だ。都が提示した1万7000ベッドを収容するには、21棟、住宅の戸数にして約4000戸強を建設する必要がある。その建設費はデベロッパーが負担しなければならない。

 選手村は五輪開催の半年前までに完成させて都に引き渡し、五輪後に戻してもらう約束。これをそのまま新築として分譲するのは難しい。アスリートたちの宿泊施設として1カ月程度、使っただけでも中古物件になる。「最低でも新築物件の7~8割の価格にまで値崩れする」(マンション調査会社のトータルブレインの久光龍彦社長)

 しかも、パラリンピックでも使用するため「4台の車いすが入る大型エレベーターを設置する計画」(清水建設の宮本洋一会長)。日常生活で使うには管理が大変でコストがかかり過ぎる。スケルトン(構造)を残し建て替えざるを得ない。

 東京都は余った敷地に2棟の超高層ビルを建設することを認めている。これにより選手村の4000戸強のほかに1500戸強のマンションを確保できる。約5650戸(推計69万平方メートル)を分譲することが可能になる。ただ、少なくても選手村として使用する4000戸強の部分については建て替え分を含め約2倍の建築費が必要になる。

 都の計画では1000戸程度は賃貸に回すことになっているが、仮にすべて分譲したとしてもデベロッパーの採算は怪しい。大手総合建設会社(ゼネコン)によると、高層マンションの建設費は現在、1坪(3.3平方メートル)あたり100万円。4000戸分に2倍の建築費がかかるとすると3570億円だ。

 マンション1戸あたり7000万円ですべて分譲できたとしても、売上高は3955億円にしかならず、土地代や販売費・一般管理費、支払利息を加味すると利益はほとんど出ない。

 もちろんこれは机上の計算。マンション市況が今よりも回復すれば分譲価格を引き上げることもできる。現段階で赤字プロジェクトと断定することはできない。

 ただ、五輪開催に向けて建設が活発になることが予想される。「建築費はさらに上昇する」(前田建設工業の岐部一誠常務執行役員)との見方が支配的だ。採算悪化がはっきりした段階で、デベロッパーがプロジェクトから降りるか、都が赤字を補填するのか、こじれる可能性もある。

■水素ステーション建設・維持コストも足かせに

 問題はこれにとどまらない。都は舛添要一前知事時代に選手村跡地を水素を燃料の中心に置くモデルタウンにすることを約束している。選手村跡地のすぐそばに水素ステーションを建設し、そこから得られる熱や電気を5650戸のマンションで有効活用する方法も検討せざるを得ない。

 住民の「足」にも水素を使う。晴海にある選手村は最寄りの地下鉄の駅まで徒歩15分程度。都は利便性の悪さを補うため京成バス(千葉県市川市)などと新会社を設立、燃料電池車(FCV)のバスを運行する。都心と臨海部を結ぶバス高速輸送システム(BRT)も整備する予定。水素ステーションの整備やパイプラインの敷設などにもお金がかかり費用負担をどうするかなどの問題も今後、浮上してくる。

 さらに決定的なのは、選手村跡地に建設する5650戸がマンションの需給を大きく緩和させてしまうことだ。東京都のプロジェクトが「民業」を大きく圧迫してしまう懸念がある。

 不動産経済研究所(東京・新宿)によれば、15年に供給されたマンション戸数は東京23区で約1万9000戸。その約30%に相当するマンションが東京・晴海の選手村跡地から放出される。

 顧客の中心部志向は高まる一方で郊外のマンションは振るわない。銀座からタクシーで15分の場所でマンションが出てくるなら需要は落ち込む。五輪開催前に選手村の跡地利用にどう道筋を付けるか。東京都がさじ加減を間違えると、デベロッパーは壊滅的な打撃を受けかねない。(前野雅弥、山根昭)[日経産業新聞2016年8月2日付]
(記事引用) 






映画 音楽家・坂本龍一

坂本龍一が「全てをさらけ出した」 ドキュメンタリー映画、11月に公開決定ローリングストーン日本版 2017年02月27日 13:30
音楽家・坂本龍一を追った、映画『RYUICHI SAKAMOTO DOCUMENTARY PROJECT(仮題)』が、今年11月に公開される。
震災・中咽頭ガン・アカデミー賞作品の映画音楽制作など、2012年から5年間に渡る本人への密着取材により制作された長編ドキュメンタリー。

世界で活躍する音楽家、坂本龍一を追ったドキュメンタリー映画『RYUICHI SAKAMOTO DOCUMENTARY PROJECT(仮題)』が今年11月に公開される。本作は、2012年から5年に渡る本人への密着取材と、幼少からの膨大なアーカイブ素材により構成されている。

3.11以後、宮城県名取市で被災ピアノと出会ったという坂本。自然の猛威によって水に溺れたピアノの音を聞き「痛々しくてその鍵盤に触れるのも辛かった」と語る坂本は、今はその壊れたピアノの音色がとても心地良く感じると語っている。時と共にその被災ピアノの「自然の調律」の音は、サンプリングを通じて坂本の作曲プロセスの一部になり、新たな表現へと生まれ変わっていく。そして過去の坂本龍一の音への探求の描写が、積み重なるコラージュのように、現在の坂本の作曲プロセスと見事に交差していく。

どこか脆い幻想のようなバブルの時代。坂本はYMO(イエロー・マジック・オーケストラ)の一員として、日本のエレクトロニクスやテクノロジーを象徴するポップアイコンとなり、「戦場のメリークリスマス」、「ラストエンペラー」に出演、その映画音楽をも手がけ、「戦場〜」では英アカデミー賞、「ラスト〜」では米アカデミー賞をそれぞれ受賞。2001年9月11日、ニューヨークの自宅近くで起きた米同時多発テロによる圧倒的な暴力、それが生み出す世界の不均衡と非対称を感じつつ、人間の暴力性の生物学的なルーツを追い求め、音楽の原点をも探したという。

2014年7月には中咽頭ガン罹患を公表。1年近くに及ぶ闘病生活を経て、山田洋次監督作『母と暮せば』、第88回アカデミー賞で3部門の受賞に輝いたアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督作『レヴェナント:蘇えりし者』の音楽を同時期に手がけ復帰した。2017年3月には、8年ぶりとなるオリジナル・アルバム(タイトル未定)がリリースされる。カメラは、楽曲制作の現場に密着し、そのアルバム制作の様子の一部始終を捉えており、坂本龍一の最終楽章の始まりがスクリーン上で奏でられる。
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坂本龍一は、本作に関して「2012年にNO NUKES 2012を撮影できないか?とスティーブン・ノムラ・シブルという映画制作者から連絡が入った。それ以来、官邸前のデモや、東北ユースオーケストラとのコンサート、そしてガンがわかって映画制作のスケジュールに大きな変更が余儀なくされても、僕の側にはいつもカメラがあった。スティーブンは僕に何を見たんだろう?プライベートスタジオも、自宅のピアノ室も、全てさらけ出した。こんな映画に坂本の私生活を覗くという以上の意味はあるんだろうか?果たして映画として「見れる」作品となっているんだろうか?-いま、僕は完成が待ち遠しい。」と、コメントを寄せている。

本作の監督を務めるのは、『ロスト・イン・トランスレーション』の共同プロデューサーを務め、エリック・クラプトンのドキュメンタリーなど、世界的に活躍するスティーブン・ノムラ・シブル。「震災後、坂本龍一さんの音楽表現がどのように変わるのか、新たにどのような曲を書かれるのか、もしそこまで密着可能であれば、何かカタルシスが生じるのではないかとの思いが、この映画を作り始めるきっかけでした。ご病気の事もあり、本格的な作曲プロセスの記録を始めたのは撮影開始から4年後の事、長い撮影期間となりましたが、映画を通じて、映像と共に音楽や音の魅力を表現できればと、今も願っております。是非皆さまに劇場で音楽的カタルシスを体験して頂きたく思います。」と語っている。

震災から3年を経た2014年3月11日には、自ら防護服を着用し福島第一原発を囲む特別警戒区を訪れ、無人の地と化した集落の残像の音に触れたという坂本。テクノロジーに頼る現代人の営みが、自然環境を蝕み、人間の生き場所をも奪ってしまうことへの悲しみが、彼自身の作曲プロセスの根底あるのだという。大病を経て、過去の旅路を振り返りながら、新たな楽曲が誕生するまでを追った本作。坂本龍一という音楽家の生き様がここにある。

『RYUICHI SAKAMOTO DOCUMENTARY PROJECT(仮題)』
監督/プロデューサー:スティーブン・ノムラ・シブル
出演:坂本龍一
配給:KADOKAWA
公開:2017年11月、角川シネマ有楽町ほか全国公開

Text by Kanako Mori(RSJ)

(記事引用)




 

春樹のライバル「ディラン」

ノーベル賞作家が語る、村上春樹落選の背景 ディラン授賞をめぐるクッツェー氏の洞察 - 藤原章生
WEDGE Infinity  2016年10月23日 08:47
 先日、東京・上野の居酒屋で酎ハイを飲んでいたら、「今年のノーベル文学賞にボブ・ディラン氏」とのニュースが入った。
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 私は、実に狭い範囲の個人的な事情から少しホッとした。というのも、その前の週、新聞の長文記事で、作家の村上春樹が受賞する可能性は低いと書いていたからだ。それは村上作品の評価というより、審査に当たるスウェーデンアカデミーのローカル性や高齢がたたり、「まだ難しい段階」という現地の声を紹介したものだった。

 ボブ・ディランと聞いた瞬間、あ、なるほど、とは思ったが特別な感慨はなかった。外国語で私が最も聞き込んできた歌手だが、その彼が文学賞を受賞したことに「ふーん」という反応しか出てこなかった。「やったー」などとはもちろん思わない。せいぜい、「へえ」というつぶやきで、私は何事もなかったかのように別の話題に戻っていった。

 でも、考えてみれば、そういう態度がボブ・ディラン的というのか、私も彼の歌やそこからかもし出される、ややひねくれた物の見方、態度に大なり小なり、影響を受けてきたのかも知れない、と後になって感じた。

 そもそも、ノーベル賞をはじめ何かを権威づけること、づけられることに背を向けるという姿勢(それでもしっかりもらうのだが)が、ディラン的世界の持ち味なのだ。

 案の定、ディランは授賞決定のニュースが出てからこの方、「感激です。光栄です」とも「ありがとうございます」ともコメントを出しておらず、「ふん」といった態度を貫いている。


J・M・クッツェー。『恥辱』(ハヤカワepi文庫)、『マイケル・K』(岩波文庫)でブッカー賞を受賞

 ディランについては次回のこの欄で書くとして、本題はノーベル賞作家のJ・M・クッツェー氏だ。

 もしかしたらディラン氏の受賞を彼は予測していたのではないか、ということだ。というのも、授賞決定の10日ほど前、クッツェー氏とメールでやりとりした際、今から思えばそれを匂わせるようなことを語っていたからだ。

 南アフリカ出身のクッツェー氏とは私がヨハネスブルクに滞在していた1995年から2001年にかけ何度かお目にかかっている。当時ケープタウン大学に勤めていた氏のファンだった私は、毎日新聞に月1度の割合でコラムを書いてほしいと頼みに行ったのが縁だ。彼が文学賞を取ったのは、私がアフリカを去った後のことだが、以後も決して偉ぶらず、こちらがメールを送ると、頭の良い人特有の、わずかな言葉で実に的確に応えてくれる。

 今回のやりとりはこうだった。

 ――過去のノーベル賞受賞作家に比べると、村上春樹氏の作品は「軽い」と語るスウェーデンの批評家がいます。こうした見方についてどう思われますか。

 クッツェー氏は一通りプライベートなあいさつを書いた後、こう続けた。

 「恥ずかしながら、村上春樹についての質問には答えることができません。なぜなら、彼を読んでいないからです」

 ニューヨーク・タイムズのブックレビューに書評を書いている彼が読んでいない。そして、彼を含む歴代の受賞者には候補を推薦する権利があることを思うと、残念な答えであった。そこで、私はもう少し一般的な質問をした。

 (1)スウェーデンアカデミーが選考する際の彼らの趣味についてうかがいたい。

 以前、私が南アフリカに暮らしていた頃、ノーベル賞作家のナディン・ゴーディマ氏が当時読んでいたサルマン・ラシュディとジョゼ・サラマゴ(ノーベル文学賞受賞者)がいいと薦めてくれました。その時彼女は私に「今、どんな小説を読んでるの?」と聞いてきたので、実際そのとき読んでいたジョン・アーヴィングの名を挙げました。すると、彼女は「アーヴィング? 彼があなたのお気に入りなの?」と半ばあきれるような、軽蔑するような口ぶりでした。この時の彼女の表情こそまさに「アカデミーの趣味」を象徴していると私は思ったのですが、いわゆるエンターテイメントの匂いやイメージのある作品をスウェーデンアカデミーは評価しないのでしょうか。

 (2)ノーベル賞のローカル性について。

 あなたが03年にノーベル賞を受賞した直後、私の勤める新聞に書いてくれた受賞報告のエッセーで、あなたは賞の創設者ノーベルの国際主義という理想とスウェーデンの知識人らによる評価、管理というローカル性の矛盾に触れていました。

 ノーベル文学賞は国際的というより、国内的な賞だと、まだお考えになっていますか。

 こんな長い質問を送ったのは、彼が新聞のためにエッセーを書いていたころ、私は最初の読者として常にこんなやりとりをしていたからだ。拙いながらも、こちらの意見を率直に言えば、必ずまじめに答えてくれる人だったからだ。

 すると、本の催しでイタリアに出張していた氏から、1日置いてこんな返事があった。

 「(1)ノーベル文学賞はその歴史を見ると、作家たちが現代よりも重んじられていた時代に創設されたものです。トルストイを見ると、彼は1910年に亡くなった時、世界でまあ最も有名な人物と言われていました。作家はその時代の思想(thought)に大きな衝撃(impact)を与えうると、アルフレッド・ノーベルは信じていました。スウェーデンアカデミーは今も、この精神にのっとって賞を与えると私は思っています。

 (2)ノーベル賞の創設間もない頃、文学賞は不釣り合いなほど、スカンジナビア半島の作家にばかり与えられる傾向がありました。でも今は、賞の性質として特段どこかの国をひいきするようなことはなく、正当に国際的な賞だと見なされ得ると私は考えています」

 二つ目の答えは、私の質問に問題があったのかもしれないが、返答から感じたのは、彼が受賞直後のように「科学、文学の分野で特段目立った人物を出していない北欧の人々による選考」という、当時のような皮肉めいた気持ちをすでに抱いていないということであった。少なくとも表面的には。

 なぜ皮肉が消えたのかについては別の機会に考えるとして、わかりやすく、また面白いのは第一の答の方だ。そこにはキーワードが二つある。

 「世界でまあ最も有名」と「時代の思想への大きな衝撃」だ。

読んでいないクッツェー氏には村上作品が「大きな衝撃」をもたらしたかどうかを判断する術はないが、彼は村上氏についてというより一般論を語ったにすぎない。

 それでも、短い一般論にさまざまな含み、裏の意味、時に皮肉が込められているのがクッツェー氏の文章である。それを前提に考えれば、私には次のようなニュアンスが込められているように思えた。

 トルストイを例に20世紀初頭の賞の理念を語っているが、裏を返せば現代はそうでもないということ。

 かつての作家たちは人々の間で今よりもはるかに重んじられ、大事にされ、世界中の人がその名を知るほど有名で、彼の作品が時代に大きな影響を与えた。だが、今、そんな作家がどこいるのだろうか、と。

 さらに深読みすれば、メディアの発達のお陰で、人々は小説や詩などいわゆる文学だけでなく、他のジャンルからも大いなる影響を受け得る時代になった、とも語っている。

 そう考えると、ボブ・ディランへの授賞は、この時のクッツェー氏の読み通りの結果と言えなくもない。

 世界の誰もが知るほどの「まあ有名人」で、時代の思想に大きな影響を与えた人物という条件に、ディラン以上に合致する人が、いま候補に挙がっている世界中の作家たちの中に果たしているだろうか。いや、いない。それ以前に、いわゆる出版という形で売られる小説や詩が、上に挙げた条件を満たし得るだろうか。

 さりげない表現の中に、人間の近未来のあり方をはじめ深い洞察が込められているのがクッツェー氏の魅力だが、氏はなんとなくディランへの授賞を、ディランに限らず、文学というジャンル以外で活躍する人への授賞を、読んでいたのではないだろうか。

 もちろん、そんなことを問い掛けても、「いや、私は内部の人間ではないので、授賞の詳細を知り得る機会はありません」などと答えるだろうが、いずれにしても、私は彼の洞察、表現力にまたも感服せざるを得なかった。

 当のディランの魅力については、次回、書かせていただければと思う。
(一部敬称略)

(記事引用) 







 

記録のカメラ暗号化

映像作家たちは求めている、ニコンやキヤノンが「暗号化カメラ」を実現することを
2017.02.24 FRI 18:00 wired.jp/ 

PHOTO: GETTYIMAGES
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報道写真家やドキュメンタリー監督が撮影した、極秘動画や証拠写真。これらはカメラを奪われれば為すすべもなく消され、撮影者も危険にさらされる。これを懸念したNPOが、映像作家や写真家150人の署名と共に、カメラに暗号化機能を搭載するよう要請する書簡をメーカー各社に送った。

TEXT BY ANDY GREENBERG

2013年の夏、ドキュメンタリー映画監督ローラ・ポイトラスは、香港にあるホテルの一室で撮影をしていた。カメラのファインダーの向こう側にいたのは、当時まだ正体が明かされていなかったNSAの告発者、エドワード・スノーデンだった。

関連記事:E・スノーデン、ある理想主義者の幻滅、スノーデンの「裏切り」にあった米スパイの長

彼女はセキュリティに注意を払っていた。撮影した映像は暗号化したハードディスクドライヴに定期的に移し、撮影後はカメラに入っていたSDカードを壊すほどの徹底ぶりだった。しかし、レンズ越しにスノーデンを見ていると、彼女は秘密警察官がカメラを奪いにドアを突き破ってくるかもしれないという恐怖におそわれた。カメラの中のメモリーカードは、危険なことに暗号化されておらず、まだ世界が知らない告発者の未編集映像でいっぱいだったのだ。

「現場で撮影をしている段階では、当局にカメラを取り上げられてしまえば、映像は丸腰状態になってしまいます」と、ポイトラスは言う。「だから、どうしても暗号化が必要なのです」(撮影された極秘映像は、第87回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した映画『シチズンフォー スノーデンの暴露』のワンシーンとなった)。

ポイトラスが世界最重要指名手配者のひとりを撮影していたときに抱えていた危険は、現代機器のセキュリティにおける盲点でもある。ほとんどのスマートフォンは、はじめから内部ストレージが暗号化された状態で売られているし、パソコンのファイル暗号化ソフトは無料かつ信頼できるものだ。しかしカメラは、たとえそれが報道写真家やドキュメンタリー監督が機密を要する写真や映像を撮るために使うものであっても、内容を暗号化し保存する機能がついていないのだ。

ポイトラスと150人のドキュメンタリー製作者たちは、NPO「Freedom of the Press Foundation」の公開書簡に署名し、カメラメーカーであるキヤノン、ニコン、オリンパス、ソニー、富士フイルム、コダックそしてリコーに送った。ポイトラスとスノーデンの両者が理事会に名を連ねるこのNPOは、市場に出回るカメラには一切搭載されていないといってもいい暗号化機能をカメラに追加するように訴えた。泥棒、警察、国境警察官などいかなる人物も、作者の手から機器を奪い取り、映像を見ることができなくなるようにだ(筆者の妻である映画監督、マリカ・ゾウハリ=ウォロールも署名している)。

「わたしたちは世界の最も危険な場所で仕事をし、正義の名のもとに悪事を暴こうとしています。映像作家や報道写真家は、独裁政権や犯罪者によって映像や写真を押収されることが多いのです」と、4人のアカデミー賞受賞者と14人の候補者が署名した書簡には書かれている。「カメラの中身は暗号化されていないし、暗号化することもできないので、一度カメラを奪われてしまえば映像を守る術がありません。これはわたしたち自身とわたしたちが集めた情報、そして仕事を危機にさらすことを意味するのです」

スノーデン、iPhone付属キットをデザインする(1)

時に暗号化は命をも救う

署名に参加した映像作家たちは、暗号化が必要だと感じるような脅しや警察権力からの圧力を、その身をもって体験している。

ポイトラスはスノーデンを撮影する前からすでに、何度も入国審査で拘束されたことがあるし、イラク戦争中に映像制作をしたためにブラックリストに載り、カメラとパソコンを取り上げられたこともある。

また、映像作家のアンドリュー・べレンズは、2008年に携帯電話のSIMカードを飲み込むことで、ニジェール・デルタ紛争記録の協力者をナイジェリア警察に特定されるのを防いだ。

2012年、バッシャール・アル=アサドの独裁政権に3週間拘束されたシリアの映画監督オルワ・ニーラビーアは、暗号化されたハードディスクドライヴが自分の「命を救った」と話した。同時期に、別のフィルムメイカーが暗号化されていないノートパソコンをシリア警察に押収されたときは、11人が国を追われたという。「紛争地域にいるときには、暗号化という長い作業を行う労力も集中力もないのです」

報道写真家の立場は映像作家以上に弱い。ジャーナリスト保護委員会の活動ディレクター、コートニー・ラッシュによると、報道写真家がカメラやその他のデヴァイスを押収される例はあまりにも多く、「実際にこれらの事件の数を把握することはできない」という。

WhatsAppやアップルといったテック企業でさえも、米国の警察を戸惑わせるのに十分なデフォルト暗号化を行ってきたが、カメラメーカーは、おそらく技術面かコスト面、もしくはその両方の問題があるためにまだ暗号化を行っていない。キヤノン製品用のアドオン「Magic Lantern」のようなサードパーティーソフトをつくっているメーカーは、アフターマーケットの暗号化機能をカメラに付ける試みを行っている。しかし、コードは未試験に近い状態であり、平均的なユーザーが理解できる範囲を超えるほど複雑な、カメラのファームウェアの変換プロセスが必要となる。

つまり、カメラメーカーは初めから製品に暗号化機能を搭載する必要があるということだ、とFreedom of the Press Foundationの専務理事であるトレヴァー・ティムは言う。「あらゆるテック企業が情報保護の方向に向かっているのであれば、カメラメーカーもそれに続くべきです」と彼は言う。

消費者を守る責任

『WIRED』US版は、すべてのカメラメーカーに対して書簡についての問い合わせをしたが、ほとんどの会社から返事がきていない。

ニコンは声明で「進化する市場のニーズに常に耳を傾けており、写真家からのフィードバックを大切にしています。ユーザーのニーズに最も合う製品機能を求めて努力し続けます」と述べた。また、オリンパスの広報担当者は「わが社はこの問題をさらに詳しく調査し、十分な情報を得た上で決定します」と述べた。コダックの広報担当者によると、同社はフィルムの販売に焦点を置いており、「コダック」というブランド名で販売されているヴィデオカメラは、一般消費者向けのものであって「映画撮影や制作向けにつくられたものではありません」とのことだ。

Freedom of the Press Foundationは、メーカーに宛てた書簡のなかで、どのような暗号機能を搭載してほしいかは具体的に述べていない。しかし、ティムが『WIRED』に提案したのは、撮影した動画や写真をそのまま簡単に暗号化できるオプトイン機能だ。暗号化されたファイルは、それを取り込んだカメラやパソコンにユーザーがパスワードを入れたときのみ解読できるようになっているべきだという。

この機能の実現は簡単ではないだろうと、暗号と電子情報の科学捜査官であり、セミプロの写真家であるジョナサン・ジジアルスキーは言う。大容量のファイルをSDカードに高速で書きこむ高解像度のカメラでは特にだ。

カメラの速度を落とさずに暗号機能を組み込むためには、新しいソフトウェアだけでなく、ファイルを最大効率で暗号化できる新しいマイクロプロセッサーや、カメラメーカーにはおそらくまだいないであろうセキュリティーエンジニアが必要になる。ジジアルスキーいわく、このプロセスは「実現可能」ではあるものの、金がかかる可能性があると言う。「ニコンやキヤノンがコンピューター会社のようにこの問題に取り掛かるとは期待できません。これは一大事業なのです。そして最初の疑問は、どうやってそのコストを払うのか? ということになるでしょう」

一方で、Freedom of the Press Foundationのティムは、暗号化機能付きのカメラを最初に販売する会社は「競争上の大きな優位性」をもつだろう、と述べる。ポイトラスもそれに同意する。「もし同じ品質のカメラで暗号化機能がついたものが存在するなら、迷わずそっちを買うわ」

カメラメーカーは、ほかのテック企業と同じく、利益を超えて消費者を守る責任があるとティムは言う。とりわけ、危険な政権や強力な政府の下でデヴァイスを使っている人たちをだ。

「これは簡単に解決する問題ではありません。それでも、解決することは可能だと思います」と、ティムは言う。「これらのカメラメーカーは、年間何十億ドルもの利益を上げているのです。腐敗を白日の下に晒そうと努力している人々や、世界をもっとよい場所にしようとしている、もっとも大切な消費者を守る余力が、彼らにはあるはずです」

(記事引用)





 

続編「Unbroken」




〜後編へ続く〜
MIYAVI
ミヤビ ○ 1981年、大阪府生まれ。ピックを使わずにすべて指でエレクトリックギターを弾くという、独自のスラップ奏法で注目を集め、昨年の「SLAP THE WORLD TOUR 2014」を含めて、これまでに北米、南米、ヨーロッパ、アジア、オーストラリアなど、約30カ国、250公演以上のライヴを行っている。2015年にグラミー受賞チーム「ドリュー&シャノン」をプロデューサーに迎え全編ナッシュビルとL.A.でレコーディングされたアルバム『The Others』をリリース。
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アンジェリーナ・ジョリー監督映画「Unbroken」 (2016年2月 日本公開) では俳優としてハリウッドデビューも果たした他、映画『Mission : Impossible -Rogue Nation』日本版テーマソングのアレンジ制作、SMAPへの楽曲提供をはじめ様々なアーティスト作品へ参加するなど、幅広く活躍中。


http://myv382tokyo.com/


ROLLINGSTONE japan.com 
─話は変わりますけど、今回はナッシュビルでレコーディングしたんですよね?

はい。ロスでギターとかリズム録りをちょっとしてたんですけど、去年の8月かな、初めてナッシュビルへ行って。アメリカのマネージャーと好きなアーティストとか音楽とかの話をしてて、「俺、ロバート・ランドルフ、好きなんだよね」って言ってたら、「エイント・ナッシング・ロング・ウィズ・ザット」っていう曲があるじゃないですか。あの曲を、俺のマネージャーが一緒に作ったって話になって。「マジで!?」みたいな。で、「ナッシュビルにいるプロデューサーを紹介しようと思ってたんだ」「であれば、ぜひ」って。ニューオリンズでいうバーボン・ストリートみたいなダウンタウンがあるんですよ、テネシーにも。着いて初日に、そこ行って。

─ザ・カントリーみたいな。

そうなの! バーとか入ると、カントリーしか流れてないんですよ。で、男の子、ていうか、おっさんが、女の子をナンパしてるんですけど。これが非常にダサい(笑)。

─あははは。

テンガロンハットにブーツで、ビールみたいな。何で俺、こんなクソ忙しい時にナッシュビルまで来て、カントリー聴いてんだろ?って思うぐらいに一色で。まあでも、ドリュー&シャノンとスタジオに入って、ぶっ飛びましたね。このアルバムを通じて彼らからすごくいろんなことを学びました。街全体がグルーヴに包まれてる感じというか。ジャック・ホワイトとかいろんなアーティストがわざわざナッシュビルに拠点を構えるのには、理由があるんですよね。とにかく音楽との距離感が近い。はい、制作期間です、スタジオ入ります、今日はロックアウトですか? じゃなくて、別に飯食いながら歌詞書くし、トイレで曲も作れば。それはブルースにもつながるんですけど、人が生きる、要するに日常と音楽、音楽だけじゃなくて映画とかすべてのエンターテインメント、クリエイティヴィティ、アートの距離感が非常に近いんですね。まず、そこにぶっ飛ばされた。

去年はほんとに音楽どころじゃなくて。ギターを弾く時間がすごく少なかった、特に後半。だから、ナッシュビルのセッションは僕にとってリハビリっていったらあれだけど、すごくいろんなものを洗い流してくれた。浄化された気分でした。


─ちょっとした聖地みたいな?

毎回、着いた時と帰る時にお参りしに行く所があるんです。ミュージック・ロウって、いろんなレコード・カンパニーとかパブリッシング・カンパニーが並んでるストリートにあるんですけど、そこの端っこにRCAビクターのStudio Bってのがあって。ぱっと見、何の変哲もない所なんですけど、(エルヴィス・)プレスリーがレコーディングしてたスタジオで、彼がそこで録るようになって、周りにいろいろできていったんです。そこが渦巻いてるんですよね、いろんなものが。もうスピリチュアル・スポットだなって思う。周りにバンバン車も走ってるし、何の変哲もない場所だから、俺がお祈りとかしてると、ただのアホなヤツなんですけどね(笑)。

─あははは。

でも、確実にそこには何かあるんですよね。ジョニー・キャッシュ、プレスリー、俺らが録ったのはバディ・ホリーが実際にレコーディングしてた所で、機材も残ってて。やっぱりあの街にあるヴァイブスとグルーヴ。ジョー・グレイザーっていう有名なギターテックがいて、ドリューが友達なんで紹介してもらって。ギターを今回、テレ(キャスター)に変えたのもあって、「ちょっと触ってよ」って持って行ったんですよ。すげえいいおじさんなんですけど、そこで修理を待ってたら、小柄なおばさんが入って来て。で、もうひとり青年が入って来て、アコギの修理に出してたみたいで。ギブソンかどっかのやつで「いいじゃん、弾かせてよ」って言って弾きながらスラップとかちょっとやってたら、そのおばちゃんがふらっと来て、「何それ? どうやってんの?」「こうやってやるんだよ〜」なんて感じで話してたら、ジョーが「彼女は60〜70年代、有名だったんだよ。ビルボード1位も獲ってたんだ」って教えてくれて。「へ〜、名前、何ていうの?」「ジャニス・イアン」って。俺、その時、知らなくて。「あ、そうなんだ。後でYouTubeでチェックしとく」って(笑)。

─めっちゃすごい人ですよ!

マネージャーにも同じこと言われました(笑)。あと、ギターを変えたのも、スタジオでロバート・ランドルフとジャムったんですね。彼に電話越しで「エイント・ナッシング・ロング・ウィズ・ザット」のリフを弾いて聴かせたら、ジャムろうってなって来たんですよ。ふらっと入って来て、ペダルスティールをボックスにつないだ、その音が強烈で。プレイは楽しめたんですよ。でも、彼の音の存在感が強烈で。なんか、「俺、変わらなきゃ」って思った。自分の音をもっと磨かないと、この国、要するに世界を本当の意味でロックできないなと思って。それでギターを変えたんです。辛かったけど。ちょうどずっと使ってたテイラーのT5でオリジナル・モデルができてきたんですですよ。だけど、今、俺は前に進まないとダメだと思って、もう街中の有名なギターショップに行きまくって弾きまくって。とりあえずレスポールじゃねえな、みたいな(笑)。向こうのヤツらって、みんな本当に親切で、みんなテレキャスターを持ってて、貸してくれるんですよ。「俺の弾きなよ」って。あと、どこ行っても良い状態のヴィンテージの機材が結構あって、結局、今回のレコーディングでは使わなかったけど、ジミー・ペイジが実際に使ってたアンプとか。その中でいろんなギターを弾いて試して聴いたりして、このシステムに辿り着いたというか。まあ、ここからまた変わっていくと思いますけど。

今までって、どっかで否定してたんですよ。エレキギター? テレキャスター? ストラト? レスポール? いやいやいや、みたいな。そういうティピカルな音、プレイ、ルックス、曲、歌をどっかで避けてて。全部オリジナルじゃなきゃ! みたいな、どっかでオブセッション、強迫観念じゃないけど、そういうのがあったんですよね。いい音であるっていうことよりもそっちのほうがプライオリティ高かった。唯一無二であるっていうことのほうが。でも今は、いろんな経験をしてきて、別にいいやって。まずいい音、気持ちいい音であって、そのうえで自分自身であること。

まあ、どっちも同じなんですけどね。そのプライオリティが同じになってきたというか。単純にテレキャスの音、いいじゃん、結局、俺のハートから出てくる音、プレイでしょ。俺しか弾けない、言葉にできない何かがあればいいんじゃね?って。ルックスもそうですよね。メイクするわ、着物着るわ、刈り上げてちょんまげするわ、いろいろやってましたけど(笑)もういいやって。だって俺がいるだけで俺なんだもんっていう。そういう感じになれたのも、すごいデカいですね。


─それはとんでもない忙しさを経験したっていうのもあるんじゃないですか? ハイを通り越して、ある意味ぶっ飛べたっていうか。

そうですね。やっぱりでも、環境もデカいですよ。まあ、アメリカ行きゃいいって話じゃないんだけど、向こうでのひとつひとつの経験、グラミー賞を観に行ったら、バックステージでデイヴ・グロールと会ってちょっと話して。マネージャーがもともと彼のA&Rだったんで紹介してもらって。そもそもの存在感がカッコいいんですよね。そのコアの部分を学んでる最中ですね。それは日本にいたら、正直できない。

わかったようなことを言いたくないですけど、ロック、ジャズ、ヒップホップ、そういうポップカルチャー、アートも含めて、日本はまだまだアウェイなんですよ。リズム、グルーヴ、アティテュード、もう生活習慣から全部含めて。言葉も違うし、まったくアウェイで戦っていく。いちアジア人、日本人の俺がそれをやる意義を見つけたくて、今、向こうでやってるんです。そのためのひとつの武器がスラップでもあった。日本のギターじゃないですか? 三味線みたいにベンベン弾いたら新しいだろうなって。

─英語で歌うことは?

歌うことも話すことも、俺の英語が上達したら、もっと日本語の曲は増えると思います。世界中にいる自分のコアなファンたちって、俺の日本語の曲を大合唱してくれるんですよ。最高の景色だし、最高の気分で。それこそ、ネトウヨさんたちに見てもらいたい(笑)。日本人として、やっぱうれしいですよ。自分がある種、文化の架け橋になって、日本と海外のファンたちが交流を始めたりとか、新しい景色をもっともっと見せたいですね。だけど、英語がしゃべれないから日本語で歌うっていうのは、俺の中ではないんですね。これは俺の美学なんであれですけど、英語もちゃんとしゃべれるし、歌える。英語で真っ正面からロックできるうえで、日本語で歌いたいんですよ。

例えば、「日本は最高なんだよ」って、海外の人に日本語で言っても伝わらないでしょ? それを英語で言ったうえで、そこから派生して、日本語の歌を教える。このプロセスがグローバルな、インターナショナルな世界にコミットしていくうえでいちばん必要だと思う。だから対話する力なんです。英語もそう、アティテュードもそう。対話しない美学もあると思います、日本人特有の。ただ、やっぱりルールに則ってというか、世界のルールとしてしゃべる時は英語なわけじゃないですか。だったらそれに乗っかってないと、勝負できないよねって。周りを見ること、世界を知ること、それがやっぱりこの国にはいちばん必要だし、俺にも必要だった。だから俺は外に出たし、まだ道の途中で何も成し遂げてはいないけれど、意識は常にそこですね。

─一方で、亡くなった落語の立川談志師匠は、その国で生まれたものしかその国の物語と文化になり得ないって言ってて。

それって要するに歴史じゃないですか。僕たちも長い歴史で見たら、超一瞬なわけでしょ。その人生の中で積もり得た経験と知識をどんどん積み重ねていってるわけで。例えば相撲を見れば、今やモンゴルのほうが強い。そういう意味でもクロスオーバーの時代に僕たちは今入っていて、もう完璧なネクスト・ジェネレーションなんですよね。で、もうインポート(輸入)してる時代じゃないんです。エクスポート(輸出)なんですよ。野球で野茂(英雄)さんがいてイチローさんがいたように、ロックではそれが僕の役目なんだと思ってます。文化になれますよ、その気になれば。ただ、時間はかかる。目をふさぐのって簡単なんですよね、楽だし。でもそうじゃない喜び、閉鎖するのは簡単だけど、そこを突き抜けて出てってボコボコにされて、初めて見える景色、それを俺は今見てて、すごく気持ちいいし、楽しい。それでわかったのは、俺、グラミー遠いなってこと(笑)。グラミーは決してゴールではなくてひとつの指標ではあるんだけど、まだ時間がかかるなと。だけど、距離感はわかった。

─今回のアルバムは、場所とか人種とかすべてを超えてユナイトできるってことを証明しようとしてるようにも聴けました。

僕はアルバムに全然満足していないですよ。もちろんベストを尽くしました。これが今の俺です。けど、もっといける。それを感じてる。今、なんで談志さんはそんなことを言ったんだろうなと考えたんですけど、時間がかかるんですよ。その国で生まれたものしか、その国の物語になり得ないわけでしょ? 要するに、生まれてからその文化になるまでの時間があるわけじゃないですか。ヒストリーが。それは逆にいうと、ヒストリーさえあればなり得るっていうことでしょ? モンゴルの相撲であったり、あとは日本の自動車であったり、それは物語になってると思うんですよ、もう。たぶん談志さんは、彼の職種、つまり落語って言語が占める割合がデカいでしょ。落語をアメリカへ行ってやれますか?っていうのは、いきなりは無理じゃないですか。でもさっき言ったように、ジェネレーションが変わって脱皮したら、今度は英語で落語ができる日本人が生まれるかもしれないし、逆もしかりですよね。そういう意味では生まれてから物語になるまでには、時間がかかる。結局は人、そして日常から生まれる歴史じゃないですか。付け焼き刃ではできないっていうのは、絶対そうなんです。だからすぐは無理ですよ。

さっきの俺の話も一緒なんですよ。時間がかかるんです。これは遠いなと。向こうへ行って、アメリカのプロデューサーとやりました。グラミー、観ました。まだ無理です。俺、このアルバムでグラミー穫れると思ってないですもん。だから満足してない。だけど、次やることはもう見えてる。時間もかかりますけど。それがその距離感だし、談志さんが言うのはたぶんそういうことなんじゃないかな。そういう意味で僕はそれを否定しない。その言葉に付け足すのは、ただ、時間、ヒストリーを作ればできるってことですよ、絶対に。まあ、それは口で言ってもしょうがいない。やっていくしかない。

─確かにね。で、そのアルバムを引っさげてのジャパンツアーもあるんですよね。

はい。楽しみです。音を楽しみながらやれたらなと。BOBOくんとずっとやってて、彼にもほんとにたくさん学ばせてもらいました。彼とのセッションでこのスタイル、スラップにフォーカスすることができたし、今また違うドアを開くことができた。僕を信じてくれるっていう彼のサポート、それはファンのみんなもそうですね、やっぱり。そこがたぶん、自分の唯一の責任なんじゃないかなって思います。僕、ここを見てないんですね。先しか見てない。その先を見てるってことを共有できる人と一緒にいる。そういう人たちに未来を見せたいんですよ。経験したことのない、見たことのないものを見せてあげたいし、それが彼ら彼女たちにとってのプライドであってほしい。みんなが誇りに思えるような活動をしていきたいです。そういう意味でBOBOくんもその未来をすごく信じてくれていて、もっともっといい景色を彼にも見せたいと思うし、同時に自分がアーティストとしてもっともっとフランクになって、DJとか、布袋(寅泰)さんみたいにオーケストラとやったり、逆に普通のバンドをやってみたりとか、したいですね。俺、今回のアルバムでほとんどスラップしてないんですよ。もういいやって。

─多面的である、どれが自分だろうって悩んでる時期すら通り越したみたいなところに。

そうですね。なんか真っ白ですね、今。自分で言うとクサいですけど、僕、ずっと「バガボンド」なんですよ、ずっと。武蔵なんですよね。だから鞘から抜かなくなってくる感じが。まだ抜くし、斬るけど、殺めるためのものではないという意味がわかってきたっていうか。殺生のためじゃないんですよね、剣術って。それが何となくわかってきたかなっていう。まだまだですけど。

─殺めなくても、自分のプレゼンスがしっかりとしていれば。

そうなんですよね。だから相手も剣を抜こうと思わないんですね、それがあれば。そこの感覚がやっとちょっとわかってきたかなって。


光速スピードの野球ボール

役に立たないネタがうけて5万部超。
おかしな科学書『ホワット・イフ? 野球のボールを光速で投げたらどうなるか』(ランドール・マンロー 著/吉田三知世 訳)――ベストセラー解剖 - 前田 久 記事文春オンライン2017年02月19日 11:00
大学で物理学を学んだのち、NASAでロボット開発に従事、その後、ウェブコミック作家へと転身した異色の経歴を誇る著者。彼の運営するウェブサイトに寄せられた、科学に関するおかしな質問に対する著者の回答をまとめたのが本書だ。表題の〈野球のボールを光速で投げたらどうなるか?〉を筆頭に、人を喰ったような内容の疑問が並ぶが、著者の回答の捻り具合はどれもそれを軽く上回る。

「原書はアメリカでもベストセラーになっているのですが、実はそうなる前から注目していました。科学の本ではありますが、読んでもほとんど役に立たないようなことばかり書いてある(笑)。逆にそんなところに魅力を感じたんです」(担当編集者の伊藤浩さん)

 原著の刊行以前から、日本国内のネットユーザーのあいだでも著者のサイトは話題に。翻訳の発売決定もSNSであっという間に広まった。その勢いに乗るかのように売れ行きも刊行直後から好調。池谷裕二さんや佐倉統さんといった識者の書評にも後押しされ、継続して部数を伸ばし続けた。

 昨年11月には同じ著者の『ホワット・イズ・ディス? むずかしいことをシンプルに言ってみた』も刊行。幅広い科学的事象を豊富な手描きイラストを交えて解説した本で、専門用語を避け、使用頻度の高い1000語の英単語のみを使ったユニークな言い回しが特徴。こちらも注目作だ。

2015年6月発売。初版6000部。現在18刷5万2500部
(記事引用)

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