2016年の出生数、初の100万人割れ 出産適齢期の人口減 
日経新聞2017/6/2 14:58

 厚生労働省が2日発表した人口動態統計によると、2016年に生まれた子どもの数(出生数)は97万6979人となり、1899年に統計をとり始めて以来はじめて100万人を割り込んだ。出産適齢期にあたる女性の人口が減り、少子化に歯止めがかからない。少子化が招く人手不足は経済成長の足かせになる。現役世代で支える年金や介護の社会保障制度も危うくする。


 人口統計を取り始めたのは日清戦争と日露戦争の間にあたる1899年。この年の出生数は138万6981人だった。出生数のピークは1949年の269万6638人。団塊の世代が生まれた第1次ベビーブームの時期にあたる。16年の出生数はこの年に比べると3分の1近くにまで減ったことになる。

 16年の出生数は前年比では2万8698人減で、05年に4万8191人減となって以来の大きな減少幅となった。厚労省は「出産適齢期の女性の数が減っているため、生まれる子どもの数が減っている」とみている。

 16年は1人の女性が生涯に産む子どもの数(合計特殊出生率)が1.44となり、前年を0.01ポイント下回った。前年を下回ったのは2年ぶり。出生率は05年の1.26を底に上がってきたが、14年以降は1年ごとに低下と上昇を繰り返している。

 16年の出生率は幅広い年代で低下した。これまでは上昇傾向にあった30~34歳の出生率が11年ぶりに低下している。20歳代の出生率が低迷を続ける中、30歳以上の世代の出生率回復が全体の底上げにつながっていただけに、このままでは少子化に拍車がかかる可能性もある。

 政府の調査では、カップルが希望する子供の数にあたる「希望出生率」は1.8となっている。安倍晋三政権は合計特殊出生率を希望通りの1.8に引き上げることを目標にしているが、足元の実績は遠く及ばない。

 都道府県別に見た出生率は最高が沖縄県の1.95、最低は東京都の1.24だった。女性が第1子を産む年齢は30.7歳で、過去最高だった前年と同じだった。

 16年の婚姻件数は前年より1万4633組少ない62万523組で、戦後最少。初婚年齢の平均は男性が31.1歳、女性が29.4歳でともに前年と同じだった。初婚年齢が上がる「晩婚化」のペースは和らいでいるが、結婚をしない「生涯未婚」を選ぶ人も増えている。離婚件数は9410組減の21万6805組だった。

 高齢化の進展により、年間の死亡数は130万人台に乗った。前年比1万7321人増の130万7765人。出生数と死亡数の差はマイナス33万786人。10年連続の自然減となった。
(記事引用)

結婚願望ある若者男子、ついに4割以下に…結婚しても「披露宴なし」が当たり前に
文=編集部 Business Journal 
 少子高齢化の進行、格差社会の拡大、女性の社会進出の増加といった社会状況を背景に、婚姻件数が減り続けている。厚生労働省の「人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、2015年の婚姻数は63万5096組で、前年の64万3749組より8653組減少した。

 婚姻件数は1972年の109万9984件がピーク。団塊世代が適齢期を迎えた時期だ。12年からは3年連続で減少し、ピーク時の58%の水準になっている。

 婚姻件数の減少と共に顕著なのが、初婚年齢の高齢化だ。95年の平均初婚年齢は男性が28.5歳、女性が26.3歳だった。それが15年には男性31.1歳、女性29.4歳と晩婚化が進んでいる。

 婚姻件数がピーク時の6割以下にまで落ち込み、初婚年齢がどんどん遅くなる。そこに待機児童問題、子供の貧困、奨学金問題などが加わる。このままでは負の連鎖に歯止めがかからない。

若者の結婚願望が大幅に低下
 若者の結婚に対する意識はどう変わったのか。明治安田生活福祉研究所が16年3月に行った「20~40代の恋愛と結婚」というアンケート調査(3595人対象)によると、「結婚したい」と考える20代、30代が大幅に減少したことが浮かび上がった。

 結婚願望がある人(「できるだけ早くしたい」「いずれしたい」の合計)は、20代男性が38.7%で3年前の67.1%から28.4ポイントの大幅減少となった。20代女性も59.0%で同82.2%から23.2ポイント低下した。30代は男性が40.3%で12.6ポイントのダウン、女性は45.7%で14.6ポイント下がった。

 半面、「結婚したいとは思わない」が20代男性で20.3%、30代男性で24.7%と、3年前に比べそれぞれ9.1ポイント、7.9ポイント上昇。20代女性は17.0%、30代女性は24.3%で同じく10.4ポイント、9.5ポイント増えた。ちなみに40代女性では29%が「結婚したいとは思わない」と回答、結婚願望派の35%に迫る勢いだ。30代、40代の未婚女性の間では、結婚よりもキャリアアップ、おひとりさま(独身)志向が強まっているのだろうか。

 20代、30代が「独身でいる理由」は何なのか。男性は「家族を養うほどの収入がない」が27.2%でトップ。次が「経済的に自由がきく」で16.2%だった。4人に1人が収入を原因に挙げている。女性は「結婚したいと思える相手がいない」が27.2%でトップ。このほか「精神的に自由でいられる」「仕事に打ち込みたい」などの回答が目につく。男性は経済力を気にし、女性は生き方を重んじているということか。

縮小するブライダル市場をインバウンド婚が活性化

 若者の結婚願望が低下し、婚姻件数も減少した。当然、ブライダル市場も縮小傾向が続いている。矢野経済研究所が15年12月から16年2月に行ったブライダル市場に関する調査では、15年のブライダル関連市場規模は2兆5480億円で前年比99.3%だった。挙式披露宴、披露パーティ市場、ジュエリー、新婚旅行など関連市場の縮小が大きな要因だという。

「婚姻件数の減少が続く時代状況のなかで、結婚式のあり方も大きく様変わりしています。バブル期のような派手な披露宴は影を潜め、最近は少人数婚や、婚姻届を出して披露宴は行わない“ナシ婚”が増えています。ある調査では、結婚して披露宴を挙げたカップルは6割弱だったというデータもあります。ブライダル産業にとっては頭の痛い状況です」(サービス関連企業を取材しているジャーナリスト)

 そうしたなかで、注目されているのが「インバウンド婚」だ。爆買いでおなじみとなったように、アジア人観光客などのインバウンド(訪日旅行客)は近年、急増している。そのインバウンドをターゲットにし、日本国内で結婚式を挙げてもらおうという動きが活発化している。

 その先端を行くのは、沖縄の「リゾート婚」だ。沖縄県観光振興課の発表によると、15年の「沖縄リゾートウエディング」の実施組数は対前年比17.5%(2017件)増の1万4175と過去最高を記録した。このうち海外組は、対前年比29.9%(336組)増の1458組となった。

 リゾート婚には、チャペルで行うチャペルウエディングのほか、美ら海を背景に撮影を行うフォトウエディングやビーチウエディング、琉装ウエディングなども含まれている。琉装ウエディングとは、琉球王朝時代の正装・伝統衣装を着た挙式のことだ。1999年はわずか200組だったから、実に70倍以上に激増したことになる。

 沖縄県の積極的なプロモーション活動により、国内外で認知度が上がったことが成功の要因だ。海外勢は香港と台湾のカップルが全体の約88%。ブライダル関連企業では英語や中国語対応ができるスタッフを揃えるなど、受け入れ態勢を強化している。

「こうしたインバウンド婚は京都や北海道などでも広がっていて、旅行関連業界も新たなニーズの掘り起こしに力を入れています。京都では神社仏閣関係者団体が参加する『和婚受入協議会』が設立され、婚礼衣装で有名社寺をめぐる撮影プランの予約を受け付けています。北海道では雪景色を背景にしたフォトウエディングとハネムーンをセットにした商品などが人気となっています。国内市場が冷え込むなかで、海外客をターゲットにしたインバウンド婚ビジネスはますます盛んになるでしょう」(同)

 円高が進み、爆買いが一巡したなかで、インバウンド婚がブライダル業界や旅行業界の救世主となるのか。国内の若者たちの結婚観が冷めていく一方という状況のなかで、関連業界は新たなビジネス需要の掘り起こしに懸命だ。
(文=編集部) Business Journal
(記事引用)

日本の婚姻率・離婚率・初婚年齢の推移をグラフ化してみる(最新)
厚生労働省は2017年12月22日、平成29年(2017年)の人口動態統計の年間推計について発表した。
それによると2017年における日本国内の婚姻件数は60万7000件となり、婚姻率は0.49%(推計値)となることが分かった。これは前年2016年の値0.50%(確定値)から0.01%ポイント減の値となる。今回はこの婚姻率の推移をはじめ、日本の結婚関連のデータについて、最新の値を含めグラフ化を行い、状況の変化の精査を行うことにする(【発表リリース:平成29年(2017)人口動態統計の年間推計】)。

婚姻率・離婚率共に今世紀は漸減中
20151104f07
まずは婚姻率と離婚率。こちらは素直に「人口動態統計の年間推計」のリリースから取得できる。現時点の最新データは上記にある通り2017年分。推計値だが、一応数として盛り込まれている。ここなどから1899年以降の婚姻率・離婚率を抽出し、%に換算した上でグラフ化したのが次の図。現在婚姻している割合では無く、「該当年において一定人口に対し婚姻”した”値」であることに注意。例えばある年の値が「0.10%」なら、その年は人口1000人につき1人が結婚した計算となる(なお2016年以前の値は、推定値の後に発表された確定値を反映している)。
戦前は大よそ0.8%前後で行き来している。何度か上昇と下落の動きがあるが、確証・因果関係の説明はできないものの、大よそ大きな戦争の直前に上昇し、戦中は下落する動きを示していることから(日露戦争、第一次世界大戦、満州事変、日中戦争が該当する)、国民の間にも戦争の機運を肌身で感じて事前に婚姻する意志が高まるのかもしれない。

1947年に記録した最大値となる1.20%に至る大きな婚姻率の伸びは(実のところは1944-1946年は戦中・戦後の混乱による資料不備で値は非公開であり、1947年分は戦後初の公開値なのだが)、太平洋戦争終結直後に生じた結婚ブームによるもの。この高婚姻率がいわゆる「団塊の世代」を生み出し、この世代が結婚することで1970年前後の第二次結婚・ベビーブームの源となっている(1970年前後の婚姻率の高まりがそれに該当)。

しかしそれから20年後の1990年前後に再びの形で、第三次結婚・ベビーブームは起きていない。多少の上乗せ傾向が見られる程度(1990年-2001年あたりまで、やや底上げされているのが該当)。価値観の変化や結婚時期の分散などが起きたためで、1950年代・1970年代のような盛り上がりは確認できない。以後、婚姻率は高齢化や晩婚化、価値観の変化などとともに減少傾向にある。

一方離婚率は1960年代までは減少をしていたものの、その後少しずつ上昇。2002年には戦後最高値の0.23%をつけている。それ以降は婚姻率そのものが減少しているため(今件の値は人口に対する割合であり、婚姻者に対する割合では無いことに注意)、婚姻率同様に離婚率も減少傾向にある。直近数年間は0.20%を切り、さらに漸減する動きを示している。

初婚年齢は上がる一方

続いて初婚年数推移。こちらは「人口動態統計の年間推計」の発表リリースでは確認できず、さらに調べたところ、報道資料としては5年単位で「人口形態統計」の「特殊報告」(出生に関する統計)で行われているのが分かった。最新のデータは【人口動態統計特殊報告:結果の概要内、平成22年度「出生に関する統計」の概況】。

しかしこれでは少々体裁が悪いので、【統計局のデータベースe-Stat】で「初婚」をキーワードにして検索。そこから「人口動態調査」「確定数」「婚姻」「9-12 [上巻] 都道府県別にみた年次別平均婚姻年齢(各届出年に結婚生活に入り届け出たもの)」の順に掘り下げる形で選択し、「(1)初婚の夫」と「(2)初婚の妻」を選ぶ。これを元に取得可能な2016年までの全国平均における男女別(つまり夫と妻)平均初婚年齢をグラフ化した。
(記事引用)