アメリカ経済の「真のリスク」とは何か
2018年5月26日 9時0分 東洋経済オンライン
アメリカ経済は今「バブル崩壊直前」なのだろうか。ぐっちーさんは「真のリスク」は別なところにあると指摘する(写真:ロイター)
「アメリカ経済は完全にバブルだ」という話が最近よく出てきます。
先日も討論会で、「アメリカ国内の与信総額はすでにリーマンショック前のピークを越えており、これは明らかにバブルだ」、と指摘してきた某大学の経済学部教授がいたので、思い切り反論をしてやりました。今週のワタクシの有料メルマガで詳しく解説しましたが、簡単に申しあげておきます。例えばこんなデータが出ています。

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これは四半期毎にニューヨーク連銀がまとめるアメリカの家計における負債調査で、2018年第1四半期の家計が持つ負債総額は13兆2100億ドルに達しており、確かに2008年のリーマンショック前のピークであった12兆6800億ドルを超えています。

今のアメリカが「リーマンショック前」とは違う理由

この連載は競馬をこよなく愛するエコノミスト3人による持ち回り連載です(最終ページには競馬の予想が載っています)。記事の一覧はこちら

しかし、経済学者たるのもの、それで議論してはいけないわけです。そのあとにクレジットスコア(金融機関が与信を与える際のスコアリング)は755から761に上がっており、ニューヨーク連銀のエコノミストがわざわざ、「恩恵を受けているのは主に富裕層であり、そうでない人々にはほとんど融資は広がっていない」、とコメントを付けています。

つまり、貸出金額は増えているものの、それはクレジットスコアの高い富裕層向けの融資が中心で、貧乏人には恩恵は来ていないよ、ということです。あの時代は融資が拡大しつつ、クレジットスコアなんぞそれこそ「サブプライム」まで行ったわけですし、それを元手にさらにレバレッジをかけていたわけですから、それはひとたまりもなかったわけです。

2006年の段階で「これはバブルがはじける」とわれわれが予想したのはまさにこれがポイントでしたし、実際にはじけたあとも、「サブプライムローン自体はアメリカのGDPの0.8%しかないので、大したことがない」、と言っていた方がほとんどで、「大変だ!!」と騒いでいたワタクシを「モーサテ」(テレビ東京の朝の経済番組)が珍しく呼んだくらいですから、まさに少数派だったと言っていいでしょう。

ところが、今のこの状況で「バブル」などと言っている学者がいるわけですから、本当に参ります。 もちろん「ドナルド・トランプ大統領が何をするのかわからない」、というのは大リスクと言えます。しかし、こればかりは予想ができないので、「関東大震災が明日来る!」 と似たような話になってしまいますので、この話には触れません。

むしろ、最近にわかに気になり始めたのが、この問題なのです。出典はウォール・ストリート・ジャーナルです。ここでは日本語版を引用します。「NFIB(全米独立起業連盟)によると、中小企業経営者のうち、自社の抱える唯一最大のビジネス上の問題は、業務に適した従業員を見つけることだと考える割合が22%に上り、税金や規制の問題より多かったという」

ということで、これは大変な事態だと言っていい。これも有料メルマガでは詳しく解説していますが、実際、全米の失業率が3.9%ということは「失業者すべてに仕事を与えてもまだ仕事がある」という水準だし、ハワイやカリフォルニアなどの失業率はすでに2%台!! になってしまっているという現実があります。つまり労働者、特に高度な技術を持つ労働者を探すのは、どの企業にとっても至難の業で、さらに全米の出生率は下降に転じている、というデータまで出てきています。

アメリカが移民制限をし始めたら最大の経済停滞原因に
いつも申し上げているように、アメリカは先進国で唯一若年労働人口が増え続ける国で、2050年までそれは続きます。つまり、経済成長は約束されたも同然なわけですが、「このままいくと2050年以降は怪しい」、ということになります。ましてや移民制限などをしようものなら、それがアメリカ経済を停滞させる最大の原因になるでしょう。

移民制限などはトランプ大統領の個人的な思いつきに過ぎないので、当初は「大したことはないだろう」、と少なくともワタクシは高を括っておりました。しかし、この記事にある通り、共和党保守派全体がそちらの方向に大きく動き出していること、またアメリカ国民の中でも「これは経済的な問題ではなく、文化の問題だ」、という声が拡大中であることなどを考慮すると、これは結構厳しい問題になるな、という予感がいたします。

個人的な話ですが、私もアメリカに会社を持っている関係でアメリカの労働ビザを保有しているわけですが、実は、先日の審査の時、これまでには全く言われたことのないことを言われて、愕然としました。

これまでは、「移民局としては、あなたのように、アメリカ合衆国に納税もしてくれて、がんばって事業を起こしてくれている人は大歓迎で、引き続き頑張ってください」、と言われるのがお決まりだったのですが、前回の審査時には「あなたは日本でも十分な収入があるのに、なぜ、わざわざアメリカ合衆国で会社を作って仕事をする必要があるのか?」と質問され、正直びっくりしたわけです。

これまで10年以上アメリカ合衆国に納税をし、300人以上の雇用を生み出してきたのに、その貢献に感謝されるどころか、「そもそもあなたはアメリカに来る必要性がないのではないか」、というわけです。同じような境遇の友人(ドイツ人、イギリス人、デンマーク人など)と話したところ、「お前は日本人だからそんなもんで済んでるが、こっちはもっとひどいことを言われているんだよ。あからさまに『帰ったらどうだ』、と言われるからね。ロシア人あたりになるともっとひどいぜ!」というのですから、これは尋常ではありませんね。

「自由の国アメリカ」・・・は夢になりつつあるのかもしれません。いずれにせよ、この移民(外国人労働者)問題こそがアメリカ経済を躓かせる要因になるかもしれず、注意が必要だと思われます。

(本編はここで終了です。次ページからは競馬好きの筆者が、週末の人気レースを予想するコーナーです。あらかじめご了承下さい。なお今回は日本ダービー開催につき、ぐっちーさん、山崎元さん、吉崎達彦さん3人の執筆陣の予想を掲載します)

えー、このコーナーは「経済記事と競馬予測を組み合わせる」という東洋経済新報社さんの企画通りに書いているわけでありまして、私が唐突に、勝手に競馬予測をしているわけではありません。そのあたり、誤解のないようにお願い致します。

ということで、今週末は・・・やって参りました!!! 日本ダービー(5月27日、東京競馬場10R)であります。こちらの読者には「競馬なんてやったことがない」、という方も多数おられると思いますが、このレースは競走馬として生まれた馬たちが3歳という、まあ成人したばかりの若武者たちとでもいうべき同年齢の馬だけでチャンピオンを競う、というものなので、わかりやすく、競馬デビューにはうってつけだと思います。ぜひチャレンジください!

ダービーは本当に強い馬はどれか・・・が選べればよい
ちなみに今回出場する2015年生まれの競走馬は6955頭おりまして、まさにその頂点を決める、というレースなんであります。

ですから当然強い馬が勝ちます。

東京競馬場の2400メートルという舞台装置もあって、2000メートル(皐月賞の距離)も走って、最後の直線で400メートルも叩き合う訳で、しかも同年代対決というわけですからダービーだけは強い馬が勝つ、という信念に基づいて40年間競馬をやってきておりますが、結果を見るとその通りのレースばかりです。

従って、本当に強い馬はどれか・・・が選べればそれで終了、でありましてある意味非常に簡単であります(まあ、これで意見が割れるのがまた面白いわけでして、さて、執筆陣である山崎元さん、吉崎達彦さんの本命はどうなりますか・・・お二人の予想を見て下さい笑)。

ちなみに近年の優勝馬はこんな感じ・・・

2017年 レイデオロ(皐月賞4着)
2016年 マカヒキ  (皐月賞2着)
2015年 ドゥラメンテ (皐月賞1着)
2014年 ワンアンドオンリー (皐月賞4着)
2013年 キズナ (京都新聞杯1着)
2012年 ディープブリランテ (皐月賞3着)
2011年 オルフェーブル (皐月賞1着)

要するに中山競馬場で行われる皐月賞は紛れて勝つ馬がいるわけですが、このレースではガチで実力馬しか来ないわけです。ここ数年ではドゥラメンテ、オルフェーブルが皐月賞からそのまま勝っていますが、こいつらはある意味「化け物」です。

その点、今年の皐月賞馬、エポカドーロはそこまでの化け物ではない。

そうなるとワタクシが早くからダービー馬、と推していたダノンプレミアムしかありません。3月の弥生賞からの直行というのはあまり例がないんですが、体調が回復しているのであれば負けるとはちょっと考えにくいほどの強烈な末脚の切れ味は本当に見ものです。川田将雅騎手がほとんど何もしないで、弥生賞で上がり3F(600メートル)が34.1秒というのは、信じられないと言っていいと思います。

さて、あとは2着と3着、という話になりますが、これも前から2400メートル向きだな、と思ってみていたステルヴィオ(皐月賞4着)、ワグネリアン(皐月賞7着)は拾っておきたいところ。さらに青葉賞で同馬場、同距離を制しているゴーフォザサミット、そしてはっきり言ってマイラーにしか見えませんが、たまに飛んでくるマイラー系(2007年のウォッカの系統)ではジャンダルム(皐月賞9着)あたりまでは手を伸ばしたいかな、という感じです。

ここ数年堅いレースが続きましたが、今回はダノンプレミアムが図抜けており、これを軸に2、3着に人気薄を狙って高額配当、というのが個人的なビジョンです。そらあね、ギャンブルですからその通りに行くかどうかなんてわかりませんけど、1着は自信があります(あ~、言っちゃった!)。

山崎元氏の本命はブラストワンピース
山崎元です。さて、今年もダービーの季節がやって来た。他のレースで当たっても儲けは儲けなのでファンドマネージャー的には大レースを重視する感覚を持つことは疑問なのだが、やはりダービーの的中は気分がちがう(昨年は気分が良かった!)。

今年の私の本命は、ブラストワンピースだ。前走の毎日杯ではNHKマイルで勝ちに近い2着に好走したギベオンを完封しているが、皐月賞もNHKマイルも捨ててダービー1本に絞ったローテーションを組んだ。しかも、東京コースはダービーと同距離を経験済みで、巧みに場群を捌いて楽勝した。3戦3勝の戦績で全てがはっきりした着差のある勝ち方だ。

対抗にはワグネリアンを採る。いかにも東京の2400メートルに向いたディープインパクト産駒で、先行有利のペースの弥生賞でダノンプレミアムの2着に追い込んで来た同馬を見た時に、ダービーでは逆転を期待した。善し悪しは別として皐月賞ではゴール前、他の馬が壁になってほとんど追っていない。大外の8枠17番は不利だが、「ダービー向きで、ダービー狙い」である点でこの馬にも期待する。

単穴は先行できるディープ産駒ダノンプレミアムだ。ローテーションが狂ったが、先行できる同馬には極めて有利な1枠1番を引いた。地力優位は明白で、単穴以下には落とせない。

連下には、こちらも外枠(8枠16番)が気の毒だが、大逃げの3頭のうち2頭が大敗した皐月賞で3着に逃げ残ったジェネラーレウーノ、共同通信杯勝ちがあるオウケンムーンを押さえたい。

吉崎達彦です。いやあ、今年のダービーはいい馬が揃って面白くて悩ましい。人気も適度に散っていて、こんなに迷うのは久しぶりですね。ここは思い切って好きな馬から決め打ちでまいりましょう。

皐月賞馬のエポカドーロが強くないはずがない!
まず本命はエポカドーロ。皐月賞馬なのに、こんなに人気がないのもめずらしい。しかし皐月賞で後続に2馬身差をつけたエポカドーロが、強くないはずがない。オルフェーヴル産駒というのも買い材料で、オークスで3着に終わった同じ産駒であるラッキーライラックの仇討ちをお願いしたいところだ。鞍上の戸崎圭太騎手も、そろそろダービージョッキーになっても良いのではないだろうか。

対抗にはゴーフォザサミットを指名しよう。府中の同じコース、同じ距離である青葉賞の勝ち馬が、ダービーに出てくるとなぜか勝てない、というのは競馬界七不思議のひとつであろう。そのジンクスはそろそろ破られても不思議はあるまい。そして鞍上の蛯名正義騎手は、まだダービージョッキーになっていないのがこれまた七不思議である。

穴馬にはステイフーリッシュ。共同通信杯で大敗して評価を下げたが、京都新聞杯で強い勝ちっぷりを見せて蘇った。馬体も名前も規格外。たとえダービーでは来なくても、菊花賞では大きく飛躍するような気がする。そして鞍上の横山典弘騎手もたぶんに規格外だ。

これら3頭であれば、ワイドで買ってもそこそこにつく。とくにゴーフォザサミットとステイフーリッシュともなれば、米朝首脳会談を控えた「サイン馬券」的な面白さもありますな。今年は「攻めの競馬」でダービーを迎え撃つ所存であります。