当確ラインがすぐわかる「投票算」の摩訶不思議  
著者 志進ゼミナール塾長 小杉拓也
PRESIDENT 2015年10月19日号
A社が実施する事業コンペに、あなたの会社が参加することになった。ライバル会社は4社。計5社のうち2社が1次審査を通過する。A社側の審査員は30人で、1人1票を投じる。
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このコンペ内容を先輩社員に説明したところ、「ということはウチが確実に2社に選ばれるためには最低11票必要になるということだな」といわれた。「そうなんですか……?」と首をひねるあなた。

さて、読者のみなさんはどういうことかおわかりだろうか。

国会議員選挙のテレビ速報で、1%などの非常に低い開票率にもかかわらず、「当確」が出ることがある。これは各メディアが出口調査や過去の調査結果などさまざまなデータを組み合わせて、「間違いない」と判断した段階で「当確」を出しているのだ。

今回のコンペはどうか。先輩社員は11票が1次審査を通過する確実なラインだと指摘している。どうやって算出したのか。実はこれは「投票算」という方法によって求められる。投票算は中学受験向けの算数で習う“特殊算”でもある。

5社がコンペに参加し、2社が1次審査を通過するという今回の事例であるが、ここでのポイントは「激戦を想定」し、1次審査を通過する会社の数に「1を足す」ことにある。つまり、3社で争うと考えるのだ。なぜなら、5社に票がまんべんなくバラけると、確実に通過できる票数を割り出すのは難しいためである。

あなたの会社が2位までに入るには、3位の会社より1票でも多く票を獲得できればよい。3位の会社が最も多い票を得るときの票数は、上位3社ですべての票を等しく分け合う場合の票数ということになる。つまり「30÷3=10票」である。


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3番目よりも1票でも多く獲得 

しかし、これでは3社が10票ずつで並んでしまう。そこで2位までに入るためには1票を加えて、「10+1=11」とすればいいのだ。先輩の指摘どおり、コンペの1次審査を確実に通過できる票数は「11票」となる。

審査に通過する2社に1を足した3社で票を取り合う場合を考えるのがポイントだ。たとえば、次の場合も考えてみてほしい。

「ある事業コンペに6社が参加し、1回の審査で採用の1社を決める。審査員は50人で、1人1票を投じる。採用確実になるには最低何票取ればよいか?」

1社を選ぶわけだから、激戦を想定して1社を足し2社で争うと考える。50票を2社で分け合うと、「50÷2=25票」となる。しかし、25票ずつでは勝敗が決まらないので、1票を加えて「25+1=26」とする。つまり、答えは「26票」となる。

この投票算の話をあるビジネスパーソンにしたところ、彼はAKB48のファンで、メンバーの1人を熱狂的に応援しているらしく、「彼女が『選抜総選挙』で1位になるためには何票必要か」と尋ねられた。しかし、これは総投票数が事前にわからないので、明確に答えることはできない。彼のとても落胆した表情が、いまでも強く印象に残っている……。
(記事引用)