自動運転車の開発で「非ものづくり」企業も気炎を上げる群雄割拠ぶり
CAR and DRIVER:総合自動車情報誌 2018.10.15
4極が入り乱れて自動運転車の開発競争が激しく
 自動運転車の開発競争が激しくなってきた。注目されているのは米・グーグルのような“もの作り”をしないIT企業だが、開発の最前線は自動運転のためのAI(人工知能)開発、AIの頭脳である高度集積チップの開発、それと実際の自動運転動作を制御・実施するアクチュエーター(機械動作機構)技術である。米国、中国、欧州、そして日本。この4極が入り乱れての開発競争になってきた。
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 中国のIT大手である百度(バイドゥ)はこのほど、自動運転技術の開発を加速させるため15億ドル(約1670億円)を投入し、投資ファンドを設立、中国国内のスタートアップ企業に対する支援を開始した。自動運転AIを早期に実用化するため、百度は今年3月に提携先企業との間でAI情報を共有するオープンソースキット、アポロスケープを導入、人海戦術が必要になるAI開発を分担し合う方法を選んだ。この取り組みに参加する中国企業の中には百度出身者が立ち上げたスタートアップ企業もあり、この投資ファンドはそうした有望な企業に融資を行う。

米国では、並列演算に有利なGPU(グラフィック・プロセッシング・ユニット)を得意とするシリコンバレー企業、NVIDIA(エヌヴィディア)が自動運転AIと車載AIプラットホームの試作を進めている。パートナー企業は370社に達しており、自動車メーカーはトヨタ、VW(フォルクスワーゲン)、ダイムラー、ボルボ・カーズ、大手部品メーカーではボッシュ、ZF、コンチネンタルなどと協業を展開している。ウーバーと百度もNVIDIAと提携関係にある。

 NVIDIAが実用化を進めている自動運転用のシステムは、地上の基地局とデータセンター用の大型プラットホーム、AI開発用プロセッサー、小型省電力設計の車載AIユニットと3段階になっている。トヨタとの共同開発契約は昨年5月に結ばれ、NVIDIAのドライブ・ペガサスと呼ばれるシステムをトヨタの完全自動運転のロボットカーに提供することが決まった。同様の契約はVWグループやダイムラーなどとも締結している。

無人で完全自動運転を行う
レベル5の開発が早い!?
 自動運転AIは、全周スキャナーやカメラなどの画像から安全に走行できるエリア、いわゆるフリースペースを判断する。中国企業は百度がこの分野をリードし、米国企業はウーバーやNVIDIAが先行している。競争が激しい分野である一方、提携先を増やせばより完成度の高いAIが実現するため、協業や提携が次々と生まれているのが現状だ。

 もうひとつ、自動運転はAIの指示を確実に実行するためのステアリングやブレーキなどアクチュエーターの高精度・高応答化が必須である。この分野は欧州のボッシュやZFがリードしていたが、トヨタ・グループのデンソー、アイシン精機、ジェイテクト、アドヴィックスの4社が8月、「自動運転の制御ソフトと機械システムの共同開発で合意し、来年3月末に共同出資会社を立ち上げる」と発表した。出資比率はデンソー65%、アイシン精機25%、ジェイテクト5%、アドヴィックス5%で、アクチュエーター類を統合制御するECUとソフトウエアを開発する。

 自動運転については、AIが対応しきれない状況でドライバーが運転操作を行うレベル3および4、無人で完全自動運転を行うレベル5の両方が研究されているが、昨年あたりから「レベル5のほうが先に実用化される」との見通しが関係企業の間に出はじめた。開発競争はますます激しくなりつつある。

(報告/牧野茂雄、まとめ/CAR and DRIVER編集部)




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(記事引用)