イラン叩きの道具に使われた安倍首相
記事天木直人2019年06月15日 11:29
今度の安倍首相のイラン訪問の背景に何があったのか。

この真実に迫るのはとても重要である。

そして、メディアが報じることだけではもちろんわからない。

わからないが、様々な憶測がなりたつ。

限りなく想像が膨らむ。

私はハメネイ師が米国をあしざまに言って米国との対話を拒否した事は米国にとって思惑通りだったのではないかと思う。

いや、そう思えてならないのだ。

米国がいつの日かイランを攻撃するかどうかはわからないが、間違いなく米国はイランを悪者にして、米国のイランに対する強硬姿勢の正当化を図ろうとしている。

私が注目したのは、安倍首相がハメネイ師と会って見事に仲介に失敗したにもかかわらず、トランプ大統領が安倍首相の仲介努力を褒めたたえたことだ。

すなわち。トランプ大統領は安倍首相がハメネイ師と会談した事に謝意を表明している。

明らかに安倍首相が仲介に失敗したというのにである。

なぜか。

それはトランプ大統領は初めから安倍首相に仲介など期待していなかったのだ。

成果がない事はわかりっきっていたのだ。

それでも安倍仲介外交を絶賛している。

なぜか。

シナリオ通りだったからだ。

日本という友好国の首相がわざわざ訪問し、仲介努力をしているにも関わらずハメネイ師は仲介に応じる気配はまるでなかった。

それどころか、すべては米国のせいにして安倍首相の面目を潰した。

イランという国は、友好国の日本でさえ説得に応じない無礼で頑なな国である事を、日本国民に見せつけ、そして世界に知らしめることになったのだ。

まさしくこれが安倍仲介外交の猿芝居だったということなのではないか。

安倍首相がイランから恥をかかされたこと自体が、私や日刊ゲンダイが批判するように安倍外交の失敗ではなく、ハメネイ師の強硬姿勢を引き出したと言う意味でトランプ大統領の命令に忠実に役割を果たした立派な対米従属外交だったのだ。

おりから日本のタンカーが攻撃さえ、それを行ったのはイランだとポンぺオ国務長官は発表した。

そしてたったいま、この原稿を書いている時にテレ朝の報道ステーションが報じた。

まもなく安倍首相がトランプ大統領と電話会談すると。

「うまくやってきました」

「よくやった」

おそらくこんな電話会談ではないかと私は思うのである(了)

(記事引用)


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米紙「安倍氏は初心者」と報道 タンカー攻撃、痛い教訓得た
2019年6月15日 10時15分 共同通信
【ワシントン共同】米紙ウォールストリート・ジャーナルは14日、安倍晋三首相のイラン訪問中に日本のタンカーが攻撃を受けたことに絡み「中東和平における初心者プレーヤーが痛みを伴う教訓を得た」との見出しで報じた。トランプ米大統領が今回の訪問に謝意を示す一方、米国内に日本の中東外交への冷ややかな見方があることを示したと言える。

 同紙は、タンカー攻撃で緊張が高まる中東情勢を踏まえ「日本の指導者による41年ぶりの訪問を終え、米国とイランの対立関係は以前より不安定になった」と論評。「米イランの橋渡し」を目指した訪問と紹介したが、訪問の成果に関する言及はなかった。
(記事引用)



日本がアメリカとイランの仲介役をした歴史的な理由
2019/6/13 13:30 (JST)©株式会社ニッポン放送
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月13日放送)にキャスターの辛坊治郎が出演。なぜ日本がアメリカとイランの仲介をしたのかということについて解説した。

安倍総理とイラン大統領との会談が終了~核合意維持へ
安倍総理は6月12日、日本時間の午後8時頃、イランの首都テヘランを訪問しロウハニ大統領と会談した。会談で安倍総理は核開発を巡るイランとアメリカの対立が激化するなか対話に応じるよう要請し、衝突回避に向け緊張緩和を呼び掛けた。その後、行われた両首脳記者発表でロウハニ大統領は核合意を維持すると表明したが、イランに対する戦争があれば徹底的に対応するとの考えも示した。

安倍総理)イランが建設的な役割を果たすことが不可欠です。イランが核合意を引き続き遵守することを強く期待しています。本日はこのような基本的な立場に立ってロウハニ大統領と率直かつ有意義な意見交換を行いました。何としても武力衝突は避ける必要があります。緊張の緩和に向け、日本としてできる限りの役割を果たしていきたい。

飯田)総理のコメントもお聞きいただきました。この仲介外交がどうなるかということですね。

時事通信社『時事通信 日刊時事解説板』第2235号(1953)より日章丸(2代目)。右上は新田辰夫船長(日章丸事件 – Wikipediaより)

日本とイランの歴史的な関係と安倍総理とトランプ大統領の特別な関係によって実現した仲介
辛坊)「なぜ日本がイランとなのか」と思っている方も多いと思いますが、世界の民主主義国のなかで、もっともイランと仲が良くて関係が深いのは日本なのです。
もともと欧米のメジャーズと呼ばれる大きな石油資本に、産油国が全部抑えられていたのです。第二次大戦後に民族主義が高まり、イランが「うちの石油はうちに売らせてよ」と訴えたところ、イギリスが激怒して、「だったらイランは封鎖してやる、イランから原油を出すタンカーは撃沈する」となった。そのときに日本の出光さんという人が、日章丸というタンカーをイランに派遣したのです。イギリス海軍に撃沈されるかもしれない恐怖のなか、イランにとっては原油の輸出ができる、日本にとっても世界の石油資本以外のところから原油が確保できるということで、大ギャンブルだったのですが、決行したのです。これは『海賊とよばれた男』という小説になって、映画にもなりました。世界の石油資本を敵に回したので欧米から総スカンを食らっていたイランを、日本だけが助けたのです。
その後、イラン革命が起きたときに、当時のパフラヴィー国王をアメリカがかくまったのでアメリカとイランは戦争状態になり、以来イランはアメリカと仲が悪いし、ヨーロッパとも仲が悪い。イランとまともに付き合って来たのは、日本だけなのです。
欧米とイランはずっと敵対関係なのですが、日本だけは歴史的な経緯で仲が良いので今回、仲介役になりましょうということになったのです。安倍総理とトランプ大統領との関係も含めて、歴史的なことなので頑張ってほしいとは思うけれども、そう簡単ではありません。

(記事引用)