「太平洋ごみベルト」からプラごみ初回収、オランダNGOの海洋清掃プロジェクト
2019年10月3日 14:15 発信地:ロッテルダム/オランダAFPBB News
 オランダ・ロッテルダムで記者会見するNGO「オーシャン・クリーンアップ」創設者のボヤン・スラット氏(2019年10月2日撮影)。(c)Charlotte VAN OUWERKERK / AFPTV / AFP
【10月3日 AFP】米サンフランシスコを先月出港した海洋清掃に特化した船が初めて、太平洋ごみベルト(Great Pacific Garbage Patch)でプラスチックごみを回収した。同船を発明したオランダのNGO「オーシャン・クリーンアップ(Ocean Cleanup)」が2日発表した。
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 プロジェクトの目標は、悪名高い太平洋ごみベルトの半分を5年以内に除去すること。海洋中のプラスチックを集めるため、オイルフェンスのような「ブーム」をえい航する補給船1隻が参加している。
プロジェクトの目標は、悪名高い太平洋ごみベルトの半分を5年以内に除去すること。海洋中のプラスチックを集めるため、オイルフェンスのような「ブーム」をえい航する補給船1隻が参加している。

 オーシャン・クリーンアップの創設者で最高経営責任者(CEO)のボヤン・スラット(Boyan Slat)氏(25)はオランダ・ロッテルダム(Rotterdam)で会見し、われわれの清掃システムが初めて、太平洋ごみベルトのプラスチックを集めたことをきょう発表する」と語った。

 さらに「これほど巨大な漁網からマイクロプラスチックまで、太平洋ごみベルトのプラスチックを回収したのは誰であっても実質、これが初めてだ」「われわれは実際に海洋をきれいにできると考えている」と述べた。

 スラット氏はまだ高校生だった7年前にこのアイデアを思い付き、紙ナプキンにメモしていた。地球の海を汚している瓶やプラスチック製の袋、ビーチサンダルなどのごみを集めるために、海流を利用しようとする構想だった。

 清掃船マースク・ランチャー(Maersk Launcher)号は9月9日、太平洋ごみベルトの清掃実験のために米サンフランシスコを出港した。太平洋ごみベルトは米国のカリフォルニア州とハワイ州の間の海域にあり、フランスの面積の2倍に相当するごみが漂流している。

 ランチャー号は、浮遊する海洋プラスチックを集めてリサイクルするために設計された長さ600メートルのブームをえい航。ブームには、海面直下に浮かぶプラスチックを回収できる長さ3メートルの先細の「すそ」も付いている。

 スラット氏は今後、大きな枕形のゴム製ブイから成る、長さ100キロに及ぶ巨大なV字形バリアーをつくりたいという。

 スラット氏は国連(UN)で最も権威ある環境賞「チャンピオン・オブ・ジ・アース(Champion of the Earth)」を最年少で受賞。このプロジェクトに専念するため、航空工学の学習を断念している。


プラスチックごみと闘う12歳、タイのトゥンベリさん「リリー」
2019年9月20日 12:00 発信地:バンコク/タイ [ タイ アジア・オセアニア ]
【9月20日 AFP】タイをきれいにするという使命を果たすため、12歳のリリーさんことラリン・サティッタナーサーン(Ralyn Satidtanasarn)さんは、学校を休んで、首都バンコクの汚れた運河をスタンドアップパドルボードを舟代わりにして動き回り、ごみ拾いをしている。タイでは1人当たり1日平均約8枚のプラスチック袋を使っている。

「私は闘う子どもです」と、リリーさんは話す。運河に浮かぶ缶やプラスチック袋を拾ういつもの骨の折れる仕事を終えたばかりだ。「楽観的でいたいけど、怒ってもいる。私たちの地球が失われている」

 タイは世界で6番目の海洋汚染大国で、プラスチックがその原因となっている。屋台の食べ物やコーヒーの持ち帰り、食料品を入れるのにもプラスチック袋が使われており、タイ人1人が年間に使用する使い捨てプラスチック袋は3000枚と、欧州の人の消費量の12倍となっている。

 リリーさんは6月、初勝利を飾った。リリーさんの説得により、タイ小売り大手セントラル(Central)が週1回、スーパーでのプラスチック袋の配布をやめることにしたのだ。

「もし、政府が私の言うことを聞いてくれないのなら、プラスチック袋を配布しているところに直接言って、やめるよう説得する必要があると思った」とリリーさんは説明した。

 また、そこかしこに店舗があるセブンイレブン(7-Eleven)など複数の大手企業が今月、来年の1月までに使い捨てプラスチック袋の配布をやめることを表明している。

 今年になって、胃にプラスチックが詰まった海洋哺乳類が何頭か死んでいることも、人々の考え方を変えるきっかけとなった。先月は、タイの浜辺で保護されたジュゴンの赤ちゃんが腹部に入っていたプラスチック片が原因で死んだことがソーシャルメディアで話題となり、2022年までに使い捨てプラスチックのほとんどを禁止する法案の審議が再開された。
(記事引用)